1973年の石油危機(第一次オイルショック)がもたらした衝撃
1970年代に起きた出来事の中で、多くの人々に「アメリカは衰退しつつある」という認識を抱かせた最大の転換点は、1973年の石油危機でした。
OPECによる原油禁輸措置
1973年10月、第四次中東戦争(ヨム・キプル戦争)においてイスラエルを支援したことへの報復として、石油輸出国機構(OPEC)はアメリカおよびその同盟国に対する原油禁輸(石油禁運)を実施しました。この結果、アメリカ国内の石油価格は3倍以上に急騰することとなりました。
国民生活と経済への深刻な打撃
禁輸措置の影響は瞬く間に国民生活を直撃しました。ガソリンスタンドには長蛇の列ができ、インフレーションが加速し、アメリカ経済は急激な落ち込みに見舞われました。当時のアメリカ経済は、すでにベトナム戦争の長期化やウォーターゲート事件による政治的混乱で疲弊しており、石油危機はその弱さに追い打ちをかける形となったのです。
「スーパーパワー」への信頼が揺らいだ時代
この危機は、遠く離れた中東で起きた出来事一つによって、世界最強とされたアメリカの経済さえも左右されうることを露呈させました。「世界の経済をリードする国」というイメージに陰りが見え始め、アメリカの経済的優位性が失われつつあるのではないかという懸念が広まりました。
さらに深刻だったのは、政府への信頼の低下です。石油危機への対応の遅れや混乱は、市民の目に政府の無力さを映し出し、公的な信頼感の低下につながりました。この時期の経験は、その後のアメリカ社会における政治不信や経済政策の転換にも大きな影響を与えることになりました。