南アメリカの歴史

ラテンアメリカで共産主義政権はどこで権力を握ったのか?歴史をわかりやすく解説

冷戦時代のラテンアメリカにおいて、厳密な意味での「共産主義政権」が長期にわたり確立された例は、実はそれほど多くありません。しかし、社会主義的な政策を掲げて権力を握った左派政権は複数存在し、20世紀のラテンアメリカ政治史に大きな足跡を残しました。ここでは、その代表的な三つの事例を紹介します。

キューバ:フィデル・カストロ政権

最も有名な例がキューバです。1959年、フィデル・カストロ率いる革命勢力がフルヘンシオ・バティスタ独裁政権を打倒し、革命政権を樹立しました。当初は必ずしも明確な共産主義路線ではありませんでしたが、やがてソ連との結びつきを強め、西半球で唯一の社会主義国として米国と鋭く対立。1962年のキューバ危機は、世界を核戦争の瀬戸際まで追い込んだ歴史的な出来事として知られています。

チリ:サルバドール・アジェンデ政権

1970年、サルバドール・アジェンデは、マルクス主義者としては世界初となる「民主的選挙による大統領就任」を果たしました。銅鉱山の国有化や農地改革など、思い切った社会主義政策を推進しましたが、経済混乱と政治的对立が深刻化。1973年、ピノチェト将軍による軍事クーデターによって政権は崩壊し、アジェンデ自身もその最期を遂げました。

グアテマラ:ハコボ・アルベンス政権

1951年に大統領に就任したハコボ・アルベンスは、土地改革を中心とした進歩的な政策を実施しました。しかし、これらの改革が米国企業の利益に抵触したことなどから、1954年にはCIAの支援を受けたクーデターによって政権から追放されました。この事件は、冷戦下における米国の介入政策を象徴する出来事の一つとされています。

まとめ

このように、ラテンアメリカでは「完全な共産主義体制」が定着した国はキューバ程度にとどまるものの、チリやグアテマラなどでは社会主義色の強い政権が誕生し、いずれも内外の圧力によって短命に終わりました。これらの歴史は、冷戦という時代背景と米州における政治的対立の構図を理解するうえで欠かせない知識といえるでしょう。