南北戦争前(アンテベラム期)のアメリカ合衆国南部では、「ヨーマン」と呼ばれる自作農たちが農村社会の重要な担い手となっていました。では、1860年頃の南部のヨーマンは、具体的にどのような財産を持ち、どんな暮らしを送っていたのでしょうか。
ヨーマンが所有していた典型的な資産
当時の南部のヨーマンの大多数は、次のような財産を保有していました。
- 家畜: 少なくとも馬を1頭か2頭、加えて豚・羊・牛などの家畜を数頭
- 果樹園: 自給用の果物を育てる小さな果樹園
- 奴隷: 2人から3人程度――多くは15歳から45歳ないし50歳までの黒人男性
- 道具・家具: 小ぶりの農具一式と家庭用家具
- 土地: 場合によっては、どこかに100エーカーから200エーカーほどの未開墾の林地
奴隷所有の実態
注目すべきは、大農園主ではない中小の自作農であるヨーマンであっても、2〜3人の奴隷を所有していたケースが多かったという点です。彼らが所有したのは、主に15歳から45歳前後の働き盛りの黒人男性でした。これは、農作業における労働力として最も需要が高かった年齢層を反映していると考えられます。
未開墾の土地を持つことの意味
さらに、100〜200エーカー規模の未開墾の林地を所有している農家も少なくありませんでした。すぐには耕作しない土地であっても、将来的な農地拡大の余地を残すとともに、薪や建材などの資源供給源として重要な役割を果たしていました。
まとめ
このように、南北戦争前の南部のヨーマンは、決して裕福とは言えないまでも、馬・家畜・果樹園・少数の奴隷・農具・家具・予備の土地といった一通りの財産を備えた、自立的な農民層でした。彼らの存在は、大規模プランテーションとは異なる、南部農村のもう一つの姿を今に伝えています。