最も貴族的だった植民地
イギリス領北米植民地の中で、最も貴族的な色彩が濃かったとされるのは、バージニア・メリーランド・サウスカロライナの3つの南部植民地です。これらの地域では、ヨーロッパの貴族社会を思わせるような階層的な社会構造が発達しました。
1. 大規模プランテーションを所有する地主貴族(ジェントリー)
これらの植民地では、広大な土地を所有する「ジェントリー」と呼ばれる地主階級が社会の頂点に立っていました。バージニアやメリーランドではタバコ、サウスカロライナでは稲や藍(アイ)のプランテーションが栄え、ワシントン家やリー家といった名門一族が地域の政治・経済を支配していました。
2. 富と社会的地位による身分制社会
生まれや財産によって人々の社会的地位がほぼ決まる、厳然としたヒエラルキーが存在しました。上位には大土地所有者が位置し、その下に自作農や職人、さらにその下に年季契約奉公人や奴隷が置かれ、身分を超えて移動できる余地はきわめて限られていました。
3. 社会秩序を強制する厳格な法律
既存の秩序を守るため、法律も厳しく運用されました。下層の人々が上流階級の服装を真似ることや、身分を超えた結婚を禁じる法令が設けられたほか、奴隷制を支えるための厳しい法規(奴隷法典)も整備されていました。
まとめ
バージニア、メリーランド、サウスカロライナは、大規模プランテーション経済を基盤とした地主貴族階級が権力を握り、富と出自に基づく身分制社会と厳格な法制度によって秩序が保たれていました。この点において、自営農民を中心とする比較的平等なニューイングランド地方の植民地とは対照的な、「最も貴族的」な植民地だったといえます。