結論から言うと、アメリカ合衆国は過去に20セント硬貨を実際に発行しています。ただし、現在では流通しておらず、短期間で姿を消した「幻の硬貨」としても知られています。
シーテッド・リバティ20セント硬貨(1875年〜1878年)
アメリカが発行した唯一の20セント硬貨は、「シーテッド・リバティ20セント硬貨(Twenty Cent Piece)」です。1875年から1878年にかけて鋳造されました。
表面には座った姿の自由の女神(リバティ)、裏面には止まり木に止まった鷲(イーグル)が描かれています。デザインは当時の彫刻局長ウィリアム・バーバーによるもので、同時代の他の銀貨と共通する意匠が採用されました。
なぜ20セント硬貨が必要だったのか
19世紀後半のアメリカ西部、特にネバダ州などでは小額の銀貨が慢性的に不足していました。5セント銀貨(ハーフダイム)と25セント銀貨(クォーター)の間を埋める硬貨として、ネバダ州選出の上院議員ジョン・P・ジョーンズらによって20セント硬貨の発行が提案されたのです。
わずか数年で廃止された理由
しかし、この硬貨は一般に受け入れられませんでした。最大の原因は25セント硬貨との混同です。サイズも材質も似ており、どちらも表面に自由の女神、裏面に鷲が描かれていたため、店頭での区別が非常に困難だったのです。
その結果、一般流通用として本格的に鋳造されたのは1875年のみで、1876年以降は収集家向けのプルーフ貨幣やごく少量の生産にとどまりました。1878年をもって正式に廃止され、約4年という短い歴史に幕を下ろしました。
現在のコレクター価値
総発行枚数は約136万枚と少なく、特にカーソンシティ造幣局(CCミントマーク)製のものは希少性が非常に高いことで知られています。状態の良い1875-CCなどの年号は、オークションで高値がつくこともある、コレクター垂涎の一枚となっています。
まとめ
アメリカは確かに20セント硬貨を発行したことがあります。1875年から1878年まで鋳造されたシーテッド・リバティ20セント硬貨は、25セント硬貨との紛らわしさゆえに定着せず、短期間で廃止されました。今ではアメリカ貨幣史上の珍しい一章として、多くのコレクターに愛され続けています。