「1796年のリバティドル」は実在しない
結論からお伝えすると、1796年に鋳造された「リバティ(自由の女神)」デザインのアメリカ1ドル銀貨は存在しません。オークションサイトや骨董市などで「1796年リバティドル」として売られているものを見かけたら、偽物や後世の模造品、あるいは別の硬貨との取り違えである可能性が高いため、十分な注意が必要です。
ただし、1796年という年自体の1ドル銀貨は実在します。当時発行されていたのは次に説明する「ドレープド・バスト」デザインのものであり、一般にイメージされる「リバティ」と呼ばれるデザインではありません。
アメリカ初の1ドル銀貨は1794年に誕生
アメリカ合衆国が発行した最初の1ドル銀貨は、1794年にフィラデルフィア造幣局で鋳造された「フロウイング・ヘア(流れる髪)」デザインです。翌1795年には、布を肩にまとった女神の胸像を描いた「ドレープド・バスト」デザインへと切り替わり、こちらは1804年まで続きました。
なお、コレクターの間で最高峰とされる有名な「1804年ダラー」は、実際には1830年代に外交用の贈呈品として後から特別に制作されたものである点も、興味深いエピソードとして知られています。
リバティデザインが採用されたのは1836年
1ドル銀貨に本格的な「リバティ」デザインが登場したのは1836年のことです。この年、試験的に鋳造された「ゴブレヒト・ダラー」において、座った姿の自由の女神を描く「シーテッド・リバティ」デザインが初めて採用されました。その後、1840年から1873年にかけてシーテッド・リバティ・ダラーが正式に流通しています。
まとめ
1796年当時の1ドル銀貨はドレープド・バストデザインの時代であり、「リバティ」という名称で知られるデザインはまだ登場していませんでした。もし「1796年のリバティドル」を目にした場合は、偽造品や誤った表記である可能性が極めて高いといえます。古銭の購入を検討する際は、発行年とデザインの対応関係を必ず確認しましょう。