南アメリカの歴史

「キラーミツバチ」はいつアメリカ大陸に放たれたのか?アフリカ化ミツバチの真実

「キラーミツバチ」という呼び方の誤解

「キラーミツバチ(キラービー)」という言葉には、よくある誤解が伴います。南北アメリカ大陸に導入された攻撃性の高いミツバチを指す正確な名称は、実はアフリカ化ミツバチ(Africanized honey bee、AHB)です。メディアで sensational に報じられた俗称とは異なり、学術的にはこの呼び名が用いられています。

アフリカ化ミツバチとは何か

アフリカ化ミツバチは、ヨーロッパ系ミツバチとアフリカ系ミツバチを掛け合わせて生まれた交雑種(ハイブリッド)です。単一の独立した種ではなく、両者の形質を受け継いだミツバチの集団を指します。そのため、個体ごとに性質に幅があり、アフリカ系の祖先から受け継いだ強い防衛本能や攻撃性が特徴として現れます。

1956年、ブラジルでの偶発的な放出

アフリカ化ミツバチがアメリカ大陸に登場したのは1956年のことです。当時ブラジルでは、熱帯気候でも高い蜂蜜生産力を持つミツバチを開発するための研究が進められており、研究施設に持ち込まれていたアフリカ産の女王蜂が偶然逃げ出してしまいました。

野外に放たれたこれらのアフリカ系ミツバチは、現地に生息していたヨーロッパ系ミツバチと交雑し、その子孫はアフリカ系の攻撃的な行動特性を受け継ぐことになりました。こうして誕生したのが、現在「アフリカ化ミツバチ」と呼ばれる群体です。

分布の拡大と北米への到達

その後、アフリカ化ミツバチは南米から中央アメリカへと急速に分布を広げ、さらに北上してアメリカ合衆国南部でも確認されるようになりました。テキサス州など南部諸州では、1990年代以降定着が確認されています。

ヨーロッパ系ミツバチとの違い

アフリカ化ミツバチは、以下のような特徴で知られています。

  • 巣への侵入者に対する反応が非常に速く、攻撃性が強い
  • 群れ全体で追跡する距離が長く、多数の刺傷につながりやすい
  • ヨーロッパ系ミツバチに比べて人間にとって危険度が高い

一方で、採蜜能力自体は高いため、適切な管理技術をもって飼育されている地域もあります。

まとめ

「キラーミツバチ」は1956年にブラジルの研究施設から偶然放出されたアフリカ産女王蜂に端を発する、アフリカ化ミツバチの俗称です。南米・中央米を経てアメリカ南部まで分布を広げたこの交雑種は、ヨーロッパ系ミツバチよりも攻撃的であることから注意が必要ですが、正しい知識を持って接すれば過度に恐れる必要はありません。