南アメリカの歴史

中流階級の男性はいつから投票できるようになったのか?アメリカ選挙権拡大の歴史をわかりやすく解説

現在では当然の権利とされる投票権ですが、その歴史をたどると、中流階級の男性が投票できるようになるまでには長い時間がかかりました。ここでは、特にアメリカ合衆国を中心に、普通選挙権が段階的に拡大していく過程を解説します。

建国初期:財産要件による制限の時代

アメリカ独立前後の時期、多くの州では「一定の財産(主に土地)を所有する男性」にのみ投票権が認められていました。このため、労働者や小規模な自営業者などの中流階級の男性は、必ずしも投票に参加できなかったのです。

しかし、独立革命の思想「代表なしに課税なし」の影響を受け、一部の州では早くから選挙権の拡大が進みました。ノースカロライナ州は1776年、ジョージア州は1777年と、比較的早期に納税者への参政権を広げた州として知られています。

19世紀前半:財産要件の撤廃と選挙権の拡大

19世紀に入ると、「すべての白人男性に平等な政治参加を」というジャクソン流民主主義の潮流により、各州で次々と財産要件が撤廃されていきました。1820年代から1840年代にかけてこの動きが加速し、1860年頃には、ほとんどの州で白人の中流階級男性が財産や所得に関係なく投票できるようになっていました。

1870年の第15修正条項:法理論上の平等へ

南北戦争後の1870年、憲法修正第15条が成立しました。これにより、人種を理由に投票権を否定することは法的に禁止され、黒人男性も理論上は選挙権を獲得しました。ただし、現実には人頭税や識字テストなど、様々な手段によって黒人の投票が妨げられる状態が長く続きました。

1965年の投票権法:名実ともに平等な選挙権の実現

公民権運動の高まりを受けて、1965年にリンドン・B・ジョンソン大統領のもとで「投票権法」が制定されました。この法律により、差別的な障壁が法的に排除され、アフリカ系アメリカ人の投票権が実質的に保障されることになりました。

まとめ

中流階級の男性の選挙権は、建国直後の一部の州での拡大から始まり、19世紀半ばまでにほぼ実現しました。さらに1870年の第15修正条項と1965年の投票権法を経て、人種を問わず男性の選挙権が保障されるまでに、約200年という歳月がかかったのです。投票権が当たり前のものになるまでの歴史を知ることは、民主主義の大切さを再認識するきっかけとなるでしょう。