「ほとんどのアメリカ人が労働組合を支持しない」という前提は誤り
「多くのアメリカ人が労働組合を支持していない」という見方は、実は正確ではありません。世論調査のデータを見ると、アメリカ国民の大多数は一貫して労働組合に好意的な姿勢を示してきました。
1930年代から続く高い支持率
歴史的な世論調査の記録によれば、1930年代以降、労働組合に対する一般市民の支持率はおおむね60〜70%の水準で推移してきました。つまり、時期による多少の変動はあるものの、「大多数のアメリカ人が労働組合を支持している」のが長年の傾向なのです。
近年の調査でも高水準を維持
近年の調査傾向も同様です。米ギャラップ(Gallup)の世論調査では、労働組合への支持率は2022年に71%に達し、1965年以来となる高水準を記録しました。若い世代を中心に組合への関心が高まっており、Amazonやスターバックスなどでの組合結成運動が注目を集めたことも、こうした流れを後押ししています。
支持率と組合加入率のギャップ
一方で興味深いのは、高い支持率とは裏腹に、実際に労働組合に加入している労働者の割合は低いという点です。米労働統計局(BLS)のデータによると、2023年時点の組合加入率は約10%にとどまっており、1980年代の約20%から大きく低下しています。
このギャップには、製造業の衰退やサービス業への産業構造の転換、各州の労働法制の違い、雇用形態の多様化など、複数の要因が関係していると考えられています。つまり「支持していない」のではなく、「支持はするものの、構造的な理由で加入しにくい環境にある」と捉えるのが実態に近いでしょう。
まとめ
「ほとんどのアメリカ人が労働組合を支持しない」という主張は、世論調査の結果と矛盾します。1930年代以来、労働組合への支持率は一貫して6〜7割前後で推移しており、近年はさらに上昇傾向にあります。課題は支持の欠如ではなく、支持を実行に移すための制度的・経済的な障壁にあるといえるのです。