1990年移民法成立後の10年間の主な動き
1990年に「移民法(Immigration Act of 1990)」が成立して以降の約10年間、アメリカ合衆国の移民をめぐって数々の重要な変化が起こりました。ここでは、その代表的な出来事と傾向を8つのポイントに分けて解説します。
1. 移民数の大幅な増加
1990年の移民法は、アメリカへの移民を大きく増加させました。年間の移民受け入れ数は、1980年代後半には約70万人だったものが、1990年代半ばには100万人を超えるまでに拡大しました。
2. ダイバーシティ・ビザ(DV)抽選プログラムの導入
この法律により、ダイバーシティ・ビザ抽選プログラムが新たに創設されました。これは、アメリカへ移住する人々の出身国の多様性を高めることを目的とした制度で、歴史的に移民が少なかった国の申請者に対し、毎年一定数のビザが無作為に割り当てられます。
3. 一時的保護措置(TPS)の創設
同法は、一時的保護措置(Temporary Protected Status:TPS)プログラムも確立しました。これは、自然災害や内戦といった特別な状況に見舞われた国の出身者に対し、一時的な合法滞在資格と就労許可を与える仕組みです。
4. 不法移民問題の継続
この法律は国境警備や入国管理の強化を図りましたが、不法移民は依然として深刻な課題であり続けました。1990年代半ばには、推定1,100万人もの不法滞在者がアメリカ国内に居住しているとされています。
5. 包括的移民改革への取り組み
1990年代には、包括的な移民改革を目指す試みが複数行われましたが、いずれも実現には至りませんでした。提案内容には、不法移民の抑制、合法移民の拡大、すでに国内に暮らす無証移民への対応などが含まれていました。
6. 反移民感情の高まり
この時期の移民急增は、反移民感情や排外主義の台頭も招きました。一部の政治家や団体は、移民がアメリカの社会、文化、経済に与える影響について強い懸念を表明しました。
7. ラティーノ(ヒスパニック系)人口の急増
この10年間で、メキシコ、中央アメリカ、南アメリカから多くの移民が流入し、アメリカにおけるラティーノ人口が大幅に増加しました。こうした人口的変化は、アメリカの政治、文化、社会全体に大きな影響を及ぼしました。
8. 移民関連訴訟の増加
1990年代には、適正手続き(デュー・プロセス)、平等保護、家族再統合などをめぐる移民政策関連の法的争いが数多く発生しました。この時期のいくつかの画期的な判決が、その後の移民法と政策のあり方を形作ることになりました。
まとめ
1990年移民法成立後の10年間は、移民数の増加、移民政策・制度の大きな変化、そして移民がアメリカに与える影響をめぐる絶え間ない議論が特徴の時代でした。この時代の流れを理解することは、現在のアメリカ移民政策を考えるうえでも重要な鍵となります。