第二次世界大戦の終盤、ナチス・ドイツはイギリス本土を攻撃するために「報復兵器(V兵器)」を実戦投入しました。このうちV1飛行爆弾は、比較的低い高度を時速600km前後で飛行していたため、いくつかの手段によって迎撃することが可能でした。
V1を迎撃した3つの主な手段
1. 戦闘機による撃墜
スピットファイアやホーカー・テンペスト、さらに連合軍初のジェット戦闘機グロスター・ミーティアなどが、V1を空中で捕捉し、機銃射撃で撃墜しました。なかには、自機の翼をV1の翼にわずかに接触させて姿勢制御を狂わせ、墜落させるという危険な戦術を用いたパイロットもいたと言われています。
2. 高射砲(対空砲)
イギリス南東部には対空砲陣地が集中的に配置されました。レーダー誘導と近接信管(プロキシミティ・フューズ)付き砲弾の組み合わせにより、命中率は大幅に向上しました。特に海岸線へ移設された砲列は、海上でV1を迎撃することで、撃ち漏らした際の地上被害も最小限に抑えられるよう工夫されました。
3. 防空气球
低空を飛来するV1に対しては、係留式の防空气球(バラージ・バルーン)も有効でした。鋼索に接触したV1は翼を破壊されて墜落し、イギリス全土の防空網の一翼を担いました。
一方、V2ロケットには対空砲が通用しなかった
同じ報復兵器でも、V2は弾道ミサイルというまったく異なる脅威でした。V2は大気圏上空まで打ち上げられた後、時速5,000kmを超える超高速でほぼ垂直に落下してきます。当時の技術では、このような目標を追尾・迎撃することは事実上不可能であり、従来の対空砲はV2に対してほとんど役に立ちませんでした。
そのため連合軍は、発射基地への空襲や地上部隊による発射地域の制圧といった「攻勢防御」によって、V2の脅威に対処せざるを得なかったのです。