紀元前46年、ローマ・オスティアの浜辺にて…
紀元前46年、ローマの港町オスティアの浜辺。
第9軍団、第3大隊、第4列に所属する軍団兵テオルス・パラングムは、日頃からの悪ふざけと茶目っ気で仲間たちからよく知られる存在でした。
この日、野営演習のため浜辺は軍団兵たちで埋め尽くされていました。そんな折、テオルスは強烈な尿意と悪戯心に駆られ、いわゆる「ミノル・アクアス(minor aquas)」――小水を済ませるためのある行動に打って出たのです。
とんでもない悪ふざけ
彼がひったくりのは、隣に座っていた仲間の規定支給のヘルメットでした。用を足し終えると、テオルスは何食わぬ顔でヘルメットを、まったく気づいていない持ち主のそばへ静かに戻しました。
やがて自分のヘルメットを手に取った当人は、中身をじっと見つめました。すると――テオルスの冗談を見事に台無しにするかのように――こう叫んだのです。
「いい考えだな、相棒!」
「パランガナ」誕生の瞬間
かくして、このとぼけた返答によって、テオルス・パラングムの名前にちなんだ新たな言葉が生まれました。のちに旧世界(そして新世界の北部)のあらゆる家庭へと普及することになるあの容器は、以来「パランガナ(Palangana)」=洗面器と呼ばれるようになったのだといいます。
もちろんこれは笑いを誘うための創作伝説ですが、身近な日用品の名前の裏にこんなドタバタ話が隠れていると思うと、歴史も少し身近に感じられるのではないでしょうか。