ギリシャ建築の歴史
紀元前320年頃までの古代ギリシャにおいて、建築・絵画・記念碑的彫刻の主な役割は公共的なものでした。これらの芸術は宗教的事業や、競技大会など最も重要な市民的行事と密接に結びついていました。市民が造形芸術を日常的に利用するのは墓の装飾にとどまり、装飾芸術は私的な用途の品々の制作に用いられていたのです。
一般家庭の嫁入り道具には、精巧な仕上げが施された彩画テラコッタ(素焼き)の壺が数多く含まれており、裕福な家庭では青銅製の器や鏡を所有していました。また、テラコッタや青銅で作られた多くの工芸品には、小さな像や浮き彫りが施され、暮らしの中に美術が息づいていました。
使用された素材と技法
ギリシャの建築家たちによる建造物の大部分は、大理石または石灰岩で造られ、屋根には木材や瓦が使われました。彫刻家たちは大理石や石灰岩を彫り、粘土を造形し、作品を青銅で鋳造するなど、多様な素材を自在に扱いました。
大きな奉納像は、青銅板を打ち出して制作されるか、金と象牙で覆われた木製の芯を持つ「クリセレファンティン(金象牙像)」として作られました。頭部や伸ばした腕は別個に制作し、後から胴体へ接合することもあったといいます。さらに、石や粘土の彫刻は鮮やかな顔料によって完全に、あるいは部分的に彩色されており、現在私たちが目にする無地の白い彫像とは異なる姿だったのです。
画家たちは水に溶かした顔料を用いて大規模な壁画を描き、器の装飾も手がけました。陶工たちはろくろを使って壺を成形し、乾燥させた後に磨き、絵付けを行って窯で焼き上げるという、高度な工程を確立していました。
ギリシャ建築の三大様式
古代ギリシャ建築は、柱頭の意匠によって次の三つの様式に分類されます。
- ドーリア式:力強く簡素な印象を持つ、最も古い様式。アテネのパルテノン神殿が代表例です。
- イオニア式:渦巻き模様の柱頭が特徴の、優雅で洗練された様式。
- コリント式:アカンサスの葉をあしらった華麗な柱頭を持つ、最も装飾性の高い様式。
まとめ
ギリシャ建築・美術は、宗教と公共生活と密接に結びつきながら発展を遂げました。大理石を用いた神殿建築、彩色された彫刻、精緻な陶芸など、その技術と美学は後世のローマ建築をはじめ、西洋建築全体に計り知れない影響を与え続けています。