フランスの工作員「H氏」がアメリカ側に求めていたものとは?
18世紀後半のアメリカ独立戦争期、フランスは表向き中立の立場を保ちながら、水面下では革命軍への支援を着々と進めていました。その陰で活躍したのが、劇作家としても名高いピエール・ボーマルシェや、彼と連携したフランスの工作員たちです。
さて、「H氏」と呼ばれるこのフランス人エージェントがアメリカ側に求めていたのは何だったのでしょうか。一見すると資金援助のように思われがちですが、実態はまったく異なります。H氏がアメリカ人に依頼していたのは、資金そのものではなく、フランス国王(ルイ16世)から資金を引き出すための協力だったのです。
なぜアメリカ側の協力が必要だったのか
当時、ボーマルシェは任務のためスペインへ渡っており、パリでの交渉は他の関係者が担わざるを得ない状況でした。フランス宮廷内部には対米支援に慎重な意見も根強く、国王を説得するには「アメリカ側自身からの正式な要請」が有力な根拠になると考えられていました。
そこでH氏は、アメリカ側に対してフランス国王への働きかけや要請の実現に協力するよう求めました。つまり彼の真の狙いは、アメリカが自らの意思で支援を求める姿勢を示すことで、王室からの資金調達の道を切り開くことにあったのです。
まとめ
H氏の目的はアメリカから金銭を得ることではなく、むしろアメリカの協力を得てフランス国王から資金を確保することにありました。ボーマルシェがスペイン滞在中という時期的な背景も重なり、この工作活動は対米支援を現実のものとするための重要な布石だったといえるでしょう。