ヨーロッパの歴史

第二次世界大戦中、ドイツ軍はイギリス本土に上陸したのか?知られざる潜入と不時着の記録

結論から言えば、第二次世界大戦中にドイツ軍がイギリス本土へ大規模な上陸作戦を実行することはありませんでした。1940年に計画された本土侵攻作戦「アシカ作戦(ゼーレーヴェ)」は、バトル・オブ・ブリテンで制空権を確保できず、実行されることなく中止されています。

しかし「一切上陸しなかった」というわけでもありません。少数のドイツ兵や諜報員が、特定の任務のためにイギリスの土地に足を踏み入れた事例は、実際に複数確認されています。

パラシュートで潜入したドイツのスパイたち

最も代表的なのが、空挺降下による工作員の潜入です。1941年1月末、ドイツの諜報員ヨーゼフ・ヤコブスはハンティンドンシャー州ラムジー近郊の農地にパラシュートで降下しましたが、着地時に足首を骨折して動けなくなり、まもなく発見されて逮捕されました。彼は同年8月に銃殺刑に処され、ロンドン塔で処刑された最後の人物として知られています。

同じ年の5月には、別の工作員カレル・リヒターがロンドン北方に降下し、数日後に捕らえられています。さらに多くのドイツ工作員が上陸直後に逮捕され、イギリス情報部によって二重スパイとして利用される「ダブルクロス・システム」に組み込まれていきました。

爆撃帰りに不時着したドイツ軍機

また、イギリス本土への空襲からの帰還途中に、被弾や故障によってドイツ軍機がイギリス領内へ緊急着陸(不時着)したケースも少なくありませんでした。生き残った搭乗員はそのまま捕虜となり、機体が大破して死亡する場合も多くありました。

まとめ

ドイツ軍による正規部隊の大規模上陸は最後まで実現しませんでしたが、スパイの空挺潜入や航空機の不時着といった形で、少数のドイツ軍関係者がイギリス本土に降り立った事例は確かに存在します。こうした小規模な侵入は、いずれも短期間で察知・対処され、戦局に大きな影響を与えることはありませんでした。