アメリカ南北戦争(1861年~1865年)では、北軍(連邦軍)と南軍(南部連合軍)の両方の兵士たちに、数多くのニックネームが付けられていました。これらの呼び名には、親しみを込めたものもあれば、敵対心から生まれた蔑称もあり、当時の時代背景や両陣営の関係性を垣間見ることができます。ここでは、それぞれの陣営を象徴する代表的なニックネームをご紹介します。
北軍(ユニオン)のニックネーム
ビリー・ヤンク(Billy Yank)
北軍兵士を指す最も有名なニックネームの一つです。興味深いことに、この呼び名は南部諸州で生まれたとされています。
ブルー・ボーイズ(The Boys in Blue)
青い制服を着用していた合衆国軍の愛称です。南軍のニックネーム「バターナッツ(Butternuts)」と対比されることが多く、制服の色がそのまま呼び名になった典型的な例です。
ダムヤンキー(Damnyankees)
南部の人々が北軍兵士を呼ぶ際に使用した侮蔑的な表現です。「忌まわしいヤンキー」という意味で、南北間の敵対感情が込められた言葉でした。
フェデラルズ(Federals)
北軍兵士や合衆国政府の関係者を指す呼び名です。彼らが連邦法(フェデラル法)を守る立場にあったことから、この名称が使われるようになりました。
マッドシル(Mudsills)
北軍兵士に対して使われた蔑称です。「マッドシル」とは建物の土台を意味する言葉で、北軍兵士を「下等な肉体労働者」と見下すニュアンスが含まれていました。
ラウンドヘッド(Roundhead)
北軍兵士が一般的にしていた短髪の髪型にちなんだ呼び名です。
南軍(コンフェデレイト)のニックネーム
バターナッツ(Butternut)
南軍兵士の代表的なニックネームです。その由来は、彼らが着ていた制服の色(クルミの実から採れる染料による黄褐色)にあると考えられています。
ジョニー・レブ(Johnny Reb)
北軍の「ビリー・ヤンク」に対する南部側の呼び名として広く知られています。両者は南北戦争を象徴する対比的なキャラクターとなりました。
レブズ(Rebs)
「反逆者(Rebels)」を短縮した言葉で、南軍兵士を指す簡潔な呼び名です。
グレイバックス(Greybacks)
灰色の制服を着ていた南軍兵士にちなんだニックネームです。
シセッシュ(Secesh)
「分離主義者(Secessionists)」の略称です。合衆国から脱退した人々を指す言葉として使われていました。
ディキシー(Dixie)
南部連合そのものを指すニックネームです。当時大ヒットした楽曲「Dixie(ディキシー)」に着想を得たとも言われており、現在でもアメリカ南部を象徴する言葉として親しまれています。
これらのニックネームは、単なる呼び名にとどまらず、南北戦争期の社会情勢や地域間の対立、そして兵士たちのアイデンティティを反映した貴重な歴史的資料と言えるでしょう。