先住民が一様にイギリスを支持したというのは誤解
「カナダへの侵攻時、先住民たちはフランスではなくイギリスを支持することを選んだ」という見方を裏付ける歴史的証拠は存在しません。むしろ実際の歴史では、多くの先住民族がフランス側について同盟関係を築いており、その選択は一枚岩のものではなかったのです。
フランスとの同盟関係
フレンチ・インディアン戦争(1754年〜1763年)をはじめとする北米のさまざまな紛争において、ウェンダット(ヒューロン)族やアルゴンキン語系の諸部族など、数多くの先住民族がフランスと同盟を結んでいました。フランスは毛皮交易を通じて先住民との協調関係を重視し、比較的対等なパートナーシップを築いていたことが、この同盟関係の背景にあります。
イギリス側についた部族も存在した
一方で、イロコイ連邦(ハウデノショーニー)のようにイギリスと同盟を組んだ先住民族もありました。つまり先住民の選択は「イギリスかフランスか」の二者択一ではなく、各部族が交易上の利益、領土をめぐる利害、過去の外交関係といった状況に応じて、個別に判断していたものです。
結論として、先住民たちの対応は統一されたものではなく、それぞれの民族が自らの利害と戦略に基づいて、フランスまたはイギリスのいずれかと同盟関係を結んでいました。「先住民は総じてイギリスを支持した」という単純化された理解は、歴史的事実とは一致しないのです。