マルコ・ポーロは中世に生きていたのか?
はい、マルコ・ポーロ(1254年~1324年)は間違いなく中世に生きた人物です。ヨーロッパ史で「中世」と呼ばれる時代は、おおよそ5世紀の西ローマ帝国滅亡(476年)から15世紀後半までを指します。したがって、13世紀半ばに生まれ14世紀初頭に没したポーロの生涯は、まさに中世後期に位置しているのです。
東方への大旅行
ポーロはイタリアのヴェネツィア出身の商人でした。17歳頃に父ニコロ、叔父マフェオとともに東方へ旅立ち、シルクロードをたどって数年をかけ、フビライ・ハンが支配する元の中国に到達しました。彼はフビライ・ハンの宮廷に仕え、約17年間にわたりアジア各地を巡り、当時のヨーロッパ人がほとんど知らなかった東洋の実像を目の当たりにすることになります。
『東方見聞録』という貴重な記録
帰国後、ジェノヴァとの戦争で捕虜となったポーロは、獄中で出会った作家ルスティケロ・ダ・ピサに自らの旅を口述しました。こうしてまとめられたのが『東方見聞録』(原題:イル・ミリオーネ)です。この書物には、中国の繁栄や元の政治制度、各地の風俗や産物などが生き生きと描かれており、当時の広大なユーラシア大陸の姿を伝える、中世でもっとも重要な文献の一つとされています。
後世への影響
『東方見聞録』は単なる旅行記にとどまらず、後の歴史にも大きな影響を与えました。クリストファー・コロンブスがアメリカ大陸発見の航海にこの本を携えていたことは有名で、東方への憧れが大航海時代を促す一因となったとも言われています。中世に生きた一人の商人の旅が、世界史の転換点を作ったと言えるでしょう。