ヨーロッパの歴史

十字軍は何回あった?中世ヨーロッパとイスラム世界をめぐる8回の宗教戦争を解説

十字軍とは何か

十字軍(じゅうじぐん)とは、11世紀末から13世紀末にかけて、主に西ヨーロッパのキリスト教徒が、聖地エルサレムを巡ってイスラム勢力に対して行った一連の宗教戦争です。参加者は衣服に十字の印をつけたことから「十字軍」と呼ばれるようになりました。

第1回十字軍は1095年、ローマ教皇ウルバヌス2世がクレルモン教会会議で聖地回復を呼びかけたことをきっかけに始まりました。そして最後となる大規模な十字軍の拠点であったアッコンが陥落した1291年まで、約200年間にわたり戦乱が続きました。

十字軍は全部で何回あったのか

一般的に「主要な十字軍」とされるものは全部で8回です。以下にそれぞれの概要をまとめます。

主要な8回の十字軍

第1回十字軍(1096年~1099年):唯一エルサレムの占領に成功した十字軍です。1099年にエルサレムを攻略し、エルサレム王国などの十字軍国家が建設されました。

第2回十字軍(1147年~1149年):十字軍国家の一つエデッサがイスラム側に奪われたことを受けて実施されましたが、ダマスカス攻撃に失敗し、大きな成果を上げられませんでした。

第3回十字軍(1189年~1192年):サラディン(サラーフッディーン)がエルサレムを奪還したことが発端となりました。イングランド王リチャード1世(獅子心王)やフランス王フィリップ2世らが参加しましたが、エルサレムの奪還には失敗しました。

第4回十字軍(1202年~1204年):当初エジプト攻略を目指しましたが、結果的にコンスタンティノープル(現在のイスタンブール)を占領・略奪し、ラテン帝国を樹立しました。同じキリスト教徒である東方正教会のビザンツ帝国を攻撃したことで、東西教会の対立を深める結果となりました。

第5回十字軍(1217年~1221年):エジプトのダミエッタを一時占領するなど戦果がありましたが、最終的には撤退を余儀なくされました。

第6回十字軍(1228年~1229年):神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世が武力によらず外交交渉によってエルサレムの返還を実現させました。ただし、その支配は一時的なものでした。

第7回十字軍(1248年~1254年):フランス王ルイ9世(後の聖王)が率いた十字軍ですが、エジプト遠征で敗北し、王自身も捕虜となりました。

第8回十字軍(1270年):再びルイ9世が率いましたが、チュニスで疫病が発生し、王自身も病で亡くなり、遠征は失敗に終わりました。

十字軍の終焉と歴史的影響

1291年、パレスチナ沿岸に残された最後の十字軍都市アッコンがマムルーク朝によって陥落させられたことで、聖地における十字軍の時代は事実上終わりを迎えました。以降も小規模な遠征や計画は存在しましたが、エルサレムを取り戻すという当初の目的を達成することはありませんでした。

約200年間に及ぶ十字軍運動は、宗教的な熱狂だけでなく、ヨーロッパと中東・ビザンツ世界との交流を促進し、商業の発展や文化・知識の伝播にも大きな影響を与えたとされています。一方で、キリスト教とイスラム教の間に深い亀裂を残したことも否めません。