パリで息を引き取った「オペラの王」
今日この日、イタリアを代表する作曲家ジョアッキーノ・ロッシーニ(Gioacchino Rossini)は、肺炎のためパリでこの世を去りました。享年76歳。亡くなるまで、彼は39作ものオペラを世に送り出した、当時最も名高いオペラ作曲家であり続けました。
『セビリアの理髪師』――今も世界を笑わせる傑作
なかでも1816年に初演された『セビリアの理髪師』(原題:Il barbiere di Siviglia)は、彼の作品中で最もよく知られており、今日なお世界各地の名だたる劇場で笑いと拍手を呼び続けています。これまでに、ペルー出身の世界的テノール歌手フアン・ディエゴ・フローレスをはじめ、声楽界の歴史に名を刻む一流歌手たちが、この舞台に立ってきました。
わずか13日で書き上げた驚異の総譜
商業主義による「即時性」が支配的な現代だからこそ、学校教育においても、こうした音楽の傑作への理解と敬意を育むことが強く求められます。歌曲や室内楽、宗教音楽の分野でも優れた作品を残したロッシーニは、あの笑いに満ちた傑作の総譜をわずか13日間で完成させました。これは、彼の類まれな才能を示すあまりにも鮮烈な証しといえるでしょう。
歌い手にとって最高峰の難易度
ロッシーニのオペラは、今日においても最も演奏が難しいレパートリーの一つです。登場人物を見事に演じきるためには、男性歌手(テノール)、女性歌手(ソプラノ)のいずれにも、極めて高い音域が要求されます。ユーモアあふれる台本と高度な技術的難易度との組み合わせこそが、ロッシーニの音楽作品を研究対象としてひときわ興味深いものにしているのです。
映画やCMでおなじみの序曲とアリア
さらに、彼のアリア(オペラを構成する歌曲のこと)の一部は広く親しまれており、映画、アニメーション、テレビCMなどにも数多く使用されています。ここでは、その代表として、最も有名な二つのオペラ――『セビリアの理髪師』と『ウィリアム・テル』の序曲をご紹介します。ぜひお聴きください。