古代の歴史

ブリセイスとは?ギリシャ神話におけるトロイアの美しい捕虜とアキレウスの怒り

ブリセイスとは

ギリシャ神話におけるブリセイス(古代ギリシャ語:Βρισηΐς)は、小アジアの都市リュルネッソス出身の若いトロイアの女性です。トロイア戦争の最中、アキレウスは彼女の三人の兄弟と、夫であるリュルネッソス王ミュネスを殺害したうえで、彼女を捕虜として連れ去りました。

本当の名前はヒッポダメイア

実は「ブリセイス」は本名ではなく、「ブリセウスの娘」を意味する通称にすぎません。彼女の本来の名はヒッポダメイア(Hippodámeia)といいます。

アガメムノンとの争いの発端

神託によって、アガメムノンは自らが捕らえていた女性クリュセイスを手放さざるを得なくなります。そこで彼は、その埋め合わせとしてブリセイスを差し出すよう、二人の伝令タルテュビオスとエウリュバテスを遣わしました。

大切な戦利品を奪われたと感じたアキレウスは激怒し、アガメムノン率いるギリシャ軍への参戦を拒否します。さらに母テティスを通じてゼウスに願い出て、ギリシャ人たちが自分に戦列復帰を懇願するまで、トロイア側に勝利をもたらすよう求めたのです。

『イリアス』の主題となった怒り

この致命的な怒りは、アキレウスの最愛の友パトロクロスの死をはじめ、トロイア戦争における数多くの重要な出来事を引き起こしました。ホメロスの叙事詩『イリアス』の主題そのものが、まさにこのアキレウスの怒りなのです。

アキレウスとブリセイスの関係

『イリアス』の中で、ブリセイスはギリシャ軍が戦功の報酬としてアキレウスに与えた捕虜です。アキレウスは彼女を心から愛し、二人の関係を夫婦になぞらえるほどでした。だからこそ、アガメムノンが彼女と寝ることなど想像するのも耐え難いことだったのです。後に争いが収まった際、アガメムノンはブリセイスと寝たことは一度もないと誓っています。