
M21の主要諸元
| 項目 | スペック |
|---|---|
| 口径 | 7.62mm |
| 全長 | 1.12m |
| 銃身長 | 0.55m |
| 重量 | 装填時 5.55kg |
| 初速 | 853m/秒 |
| 装弾数 | 20発 |
| 実用射程 | 800m |
開発の背景――なぜ7.62mm弾だったのか
1960年代、アメリカ軍は歩兵用火器の標準口径を7.62mm×51弾から5.56mm×45弾へと切り替えることを決定しました。しかし軍上層部の間では、狙撃兵器については従来どおり大口径の弾薬を使い続けるべきだという合意が形成されていました。
その理由は明快です。5.56mm弾は短距離において優れた性能を発揮する一方、500mを超えると急速に威力と精度が低下します。ところが、狙撃手が実際に「仕事」をする機会が多いのは、まさに500m以遠の距離なのです。こうした事情から、7.62mm×51口径を採用する精密射撃用武器「M14ナショナルマッチ」が維持されることになりました。これこそが、後にM21として知られることになる狙撃ライフルです。
M14との違い――手を加えられたディテール
M21は、長年にわたりアメリカ兵(G.I.)の制式武器であったM14の特殊バージョンにあたります。外観と基本機構は原型モデルを踏襲していますが、武器本体の構造にはいくつかの重要な改良が施されました。
まず、トリガーシステムは職人の手作業で組み立て・調整されており、極めて滑らかで繊細な引き金操作を実現しています。また、オリジナルのストックに代わり、エポキシ樹脂による表面処理を施したウォールナット(クルミ材)製ストックが装着されました。ガス回収システムにも細心の注意が払われ、あらゆる状況下での確実な作動が追求されています。
射撃モードは自動射撃も選択可能ですが、実際の運用では半自動(セミオート)モードが標準とされています。
最大の特徴は高倍率スコープと減音装置
M21における最大の変更点は、3倍から9倍までの可変倍率を持つスコープの搭載です。多くの光学照準器と同様、このスコープは人間の平均的な体格に基づいて較正されており、射手はレティクルを目標に重ねることで目標までの距離を推定し、それに応じた照準修正を行うことができます。
この照準器を使用した場合、M21は300mの距離で直径152mmの円内に10発を命中させる精度を発揮します。
さらに、本銃は減音装置(サプレッサー)の装着にも対応しています。これは厳密には完全な消音器ではなく、内部の一連の膨張室によって弾丸の速度を音速以下まで落とす仕組みです。その結果、発射音は特定困難なものとなり、敵が射手の位置を突き止めることは極めて難しくなります。