コンタ=ヴェナッサン(Comtat-Venaissin)は、単に「コンタ」あるいは「ヴェナッサン」とも呼ばれる、フランスの旧州であり、かつては王国領に囲まれた教皇の飛び地でした。西はローヌ川、南はデュランス川に境を接し、北側はドーフィネ地方に隣接しています。現在のヴォクリューズ県にほぼ相当する地域で、中心地(首都)はカルパントラに置かれていました。
アルプスの麓から広がる美しい風景
コンタ=ヴェナッサンは絵のように美しい景観で知られる地域です。アルプス山脈のふもとから始まる地形は、ローヌ川、デュランス川、そしてソルグ川から引かれた運河が張り巡らされた広大な平野へと続き、肥沃な大地が広がります。この恵まれた水路網は農業を支え、今日でも果物や野菜の名産地として高い評価を受けています。
ガリア人の時代から教皇領へ
この地域(ラテン語では Comitatus Venassinus)は、古くはガリア人の一派であるカヴァレス族の領土でした。その後、プロヴァンス伯の支配下に入り、さらにトゥールーズ伯の所領となりました。1218年にはトゥールーズ伯レーモン7世の領有となり、1274年にはフランス王フィリップ3世(豪胆王)によって教皇へ譲渡されました。
こうして教皇領となったコンタ=ヴェナッサンは、1791年にフランス革命期を迎えるまで、約500年以上にわたり教皇の統治下に置かれました。最終的に1791年、フランスへの併合によってその歴史に幕を下ろすことになります。
アヴィニョンとの深い関わり
アヴィニョンの街は、古代においてはコンタ=ヴェナッサンとは別個の存在でしたが、14世紀半ばに教皇クレメンス6世がこれを獲得し、一体の教皇領として統合されました。教皇庁がアヴィニョンに移った時期(アヴィニョン捕囚)には、この地域はキリスト教世界の政治的中心地のひとつとなりました。
宗教的な拠点としての歴史も古く、アヴィニョンは紀元1世紀から司教座が置かれ、1475年には大司教座へと昇格しました。また、中心地カルパントラにも483年から1805年までの長きにわたり司教座が存在し、地域の宗教文化を育みました。