古代の歴史

イラク・クルディスタンで発見されたアッシリアの岩壁レリーフ、国際考古学発見賞「ハレド・アル=アサード賞」を受賞

モスル近郊で発見されたアッシリアの岩壁レリーフ、国際考古学発見賞を受賞

モスルから約50キロメートルの場所で発見された紀元前8世紀~前7世紀のアッシリア岩壁レリーフ10点が、第6回国際考古学発見賞「ハレド・アル=アサード賞」に輝きました。

これらのレリーフは、ウディネ大学のダニエレ・モランディ・ボナコッシ(Daniele Morandi Bonacossi)氏が統括する「イラク・クルディスタン地域イタリア考古学ミッション(IAMKRI)」の調査チームと、ハサン・アフマド・カシム(Hasan Ahmed Qasim)局長率いるドホーク古代遺物局による共同発掘で出土したものです。

レリーフは幅5メートル×高さ2メートルにおよぶ壮大な石板群で、カルスト湧水を水源とする全長8.5キロメートルの古代灌漑用水路沿いに彫り込まれていました。現在、これらは山腹の浸食によって堆積した厚い土層の下に埋没しています。

古代において、この幹線水路からは小規模な水路網が枝分かれし、周辺農地への灌漑を可能にしていました。帝国の首都ニネヴェの後背地に広がる農村地帯は、この高度な水利システムによって一層肥沃な穀倉地帯となっていたのです。

岩壁に刻まれたアッシリアの神々

岩面に描かれたアッシリア神話の図像は、神々と聖獣からなる貴重な集合体です。龍と有角のライオンに乗るのは、アッシリア神話の最高神アッシュール神。ライオンが支える精巧な玉座に座るのは后ムリッス。同じく有角のライオンに乗る月神シン、龍に乗る知恵の神ナブー、馬に乗る太陽神シャマシュ、有角のライオンと雄牛に乗る嵐の神アダド、そしてライオンに乗る愛と戦の女神イシュタルが描かれています。

イラク領クルディスタンのこの岩壁レリーフは、地中海考古学観光交流会のFacebookページで最も多くの支持を集めた発見に贈られる「特別賞」も同時に受賞しました。同イベントの第23回大会は、2020年11月19日~22日にイタリアのパエストゥムで開催される予定でした。

イラク・クルディスタンで発見されたアッシリアの岩壁レリーフ、国際考古学発見賞「ハレド・アル=アサード賞」を受賞

2020年の最終候補となった5つの発見

- カンボジア:アンコール北東のクーレン山地の密林に眠る、クメール帝国の失われた都マヘンドラパーラヴァタ

- イラク:クルディスタンのファイダ遺跡(モスルから50km)。古代メソポタミアの神々を描いた10点のアッシリア岩壁レリーフ

- イスラエル:エルサレム北西5kmのモツァで発見された、9,000年前の新石器時代の大都市

- イタリア:ローマのドムス・アウレア(黄金宮)が明らかにした新たな至宝「スフィンクスの間」

- イタリア:古代都市ウェルキ(Vulci)出土の、翼を持つライオンを表した紀元前6世紀のエトルリア彫像

賞名の由来:文化遺産のために命を捧げた男

この賞の名称は、1963年から2003年までパルミラ遺跡およびパルミラ博物館の館長を務め、文化遺産を守るために自らの命を犠牲にしたハレド・アル=アサード(Khaled al-Asaad)氏にちなんだものです。

考古学の世界だけに捧げられた世界唯一の賞であるこの表彰は、とりわけ考古学の主役たち――考古学者に向けられています。彼らは犠牲的精神、献身、専門性、そして科学的探究心をもって、過去の研究者として、また地域社会に奉仕する専門家としての二つの役割を日々果たしているのです。