古代の歴史

アメリカ合衆国憲法とは?制定の歴史と特徴をわかりやすく解説

アメリカ合衆国憲法は1787年に制定され、2年後の1789年に当時の13州によって批准されました。さらに1791年には、市民の基本的人権を保障する「権利章典(Bill of Rights)」が追加されています。

憲法制定の背景

アメリカ合衆国憲法とは?制定の歴史と特徴をわかりやすく解説

「アメリカ国家の礎」ヘンリー・ヒンターマイスター画、1925年

13の植民地がイギリスからの独立を宣言した後、アメリカの各州は連合規約に基づく緩やかな連合体制を採用していました。中央政府は存在したものの、その権限は弱く、各州は政治面でも法律面でも事実上の自治状態にありました。

しかし、イギリスによる再侵攻への懸念や、州同士の対立が内戦に発展する恐れが高まったことから、各州の代表者たちはフィラデルフィアに集結しました。そこで交わされた数々の議論こそが、後のアメリカ合衆国の政治体制の基礎となったのです。

制憲会議には、13州のうちロードアイランド州を除く12州から、合計55名の代表者が参加しました。

連邦主義者と反連邦主義者の対立

代表者たちの最大の関心事は、大統領へ権力を集中させることと、各州の自治権を守ることとのバランスをどう取るかという点にありました。また、行政権は法律によって厳しく制約され、政府が専制政治へと堕落することを防がなければならないとも考えられていました。

こうした議論の中で、意見は大きく二つの勢力に分かれました。

ひとつは連邦主義者です。彼らは大都市に住む商人たちで、中央政府が税を徴収し、州間の秩序を維持できるだけの十分な権限を持つべきだと主張しました。

もうひとつは反連邦主義者です。彼らは地主層を中心とする人々で、強力な中央政府が市民の個人の権利を軽視することを恐れていました。「遠く離れた場所にある、自分たちに関心のない政府に税金を払いたくない」というのが彼らの本音でした。

最終的には連邦主義者の主張が通りましたが、その見返りとして、新政府が発足した後には権利章典を憲法に追加することが約束されました。

憲法は11州によって批准されました。当初はノースカロライナ州とロードアイランド州だけが批准を見送りましたが、最終的にはこの両州も批准に同意しています。

アメリカ合衆国憲法の特徴

アメリカ合衆国憲法は、前文に「人民(We the People)」という言葉を使った世界初の憲法です。これは、権力が神や王ではなく人民から発せられることを明確に示すものでした。

アメリカ合衆国憲法とは?制定の歴史と特徴をわかりやすく解説

アメリカ合衆国憲法の最初の条文

主な内容

  • 政治形態を連邦大統領制共和国と定め、権力を行政・立法・司法の三権に分割した
  • 通貨および度量衡の統一制度を確立した
  • 各州は市民の個人の権利を尊重しなければならないとした
  • 二院制(下院と上院)を導入した
  • 最高裁判所を創設した
  • 国家元首兼政府の長は、選挙人団を通じて自由な市民によって選出されることとした

権利章典(Bill of Rights)

権利章典は1791年に憲法へ追加され、一般市民の基本的な権利を保障することを目的としていました。主な内容は以下の通りです。

  • 表現の自由:すべての市民は自らの考えを自由に表明する権利を持つ
  • 信教の自由:宗教を自由に信仰・実践できる
  • 黙秘権:警察の尋問において黙秘する権利がある
  • 改正の原則:必要に応じて憲法に修正条項( amendment )を追加できる

避けて通れない課題:奴隷制

実は多くの州の代表者が奴隷制の不道徳性を認識していました。それにもかかわらず、南部諸州の代表者との対立を避けるため、廃止に関する議論は本格化しませんでした。

この決着の先送りこそが、南北間の亀裂をますます深める結果となり、やがて南北戦争へとつながっていくのです。

アメリカ合衆国憲法の豆知識

  • 現存する世界で2番目に古い憲法であり、1600年制定のサンマリノ共和国憲法に次ぐものです。
  • 230年以上の歴史の中で、これまでに27の修正条項が追加されてきました。
  • 本文7条と修正条項27条がわずか5ページに収まるため、「世界で最も短い成文憲法」とも呼ばれています。
  • 憲法の前文には曲が付けられており、アメリカの学校教育のレパートリーとして歌い継がれています。複数のバージョンが存在します。

あわせて読みたい関連記事:

  • ジョージ・ワシントン
  • ベンジャミン・フランクリン
  • 社会契約論
  • 13植民地とアメリカ合衆国の形成
  • 死刑制度