諸国民の春(しょこくみんのはる)は、1848年にヨーロッパの複数の国々で発生した一連の革命運動を指します。自由主義・ナショナリズム(民族主義)・社会主義の性格を持つこの運動は、「1848年革命」とも呼ばれ、フランスで始まりました。
歴史的背景
ナポレオン時代の終結後、ヨーロッパの君主たちはウィーン会議に集まり、フランス革命がもたらした自由主義的な理念から王政を守る方策を協議しました。この際に結成されたのが神聖同盟です。これは絶対主義的な君主政治を守護するために、各国間で締結された協定であり、軍事的な相互支援まで含むものでした。
一方、不作による食糧難、物価の高騰、工場の閉鎖などによって引き起こされた経済危機と劣悪な生活環境は、労働者や農民を反乱へと駆り立てました。1848年にはカール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスが『共産党宣言』を発表し、人々の間に社会主義的な理想を目覚めさせ、彼らの闘争の思想的基盤となりました。さらに、民主主義を求めるブルジョワ階級や貴族たちも運動に加わり、こうしてヨーロッパ全土に自由主義を基調とする理想が広まっていきました。
革命の帰結
しかし、これらの闘争は、人々が望んだほど満足のいく結果をもたらすことはありませんでした。
例えばドイツでは新しい憲法が制定されましたが、国王によって拒否されました。オーストリアでは皇帝が退位したものの、帝政は数年後に復活しています。フランスではルイ・フィリップ王が退位し、共和政が宣言されました。ハンガリーはオーストリアからの独立を求めて戦いましたが、成功しませんでした。イタリアも国家統一を目指して戦いましたが、統一が実現するのはそれから数年後のことでした。
また、こうした理念はヨーロッパの外へも波及しました。ブラジルでは、1848年から1850年にかけてペルナンブコ州で起こったプライエイラ革命が、ヨーロッパで展開された運動の影響を反映したものですが、反乱軍の敗北に終わっています。
エリック・ホブズボーム
2012年に亡くなったマルクス主義の歴史家エリック・ホブズボームは、現代で最も著名な歴史学者の一人です。彼は著書『資本の時代』の中で、諸国民の春について論じています。
アラブの春
2010年には「アラブの春」が始まりました。これはチュニジアで始まったアラブ諸国における運動であり、今日まで続いています。経済危機、失業、自由の欠如といった厳しい状況に対して、民主主義とより良い生活条件を求める闘いを特徴とする運動です。