古代の歴史

古代の巻物はどのように封印されていたのか?主な封印方法を解説

古代において、巻物はさまざまな方法で封印されていました。封印は中身を保護するだけでなく、文書が改ざんされていないことや、正当な差出人から送られたことを証明する重要な役割も担っていました。ここでは、古代で実際に行われていた主な封印方法を紹介します。

粘土製の印章(ブラ)による封印

最も広く使われていたのが、粘土製の印章「ブラ(bulla)」を用いる方法です。この方法では、柔らかい粘土を巻物の包み紙に直接押し付けるか、巻物を閉じる紐に取り付けて固定しました。粘土が乾くと硬い封印となり、勝手に開けると封印が壊れるため、開封されたことが一目でわかる仕組みでした。

粘土の封印には、多くの場合、印章指輪(シグネットリング)の刻印が押されていました。この刻印は差出人または所有者の身元を示すもので、いわば古代における「署名」のような役割を果たしていました。

蝋(ろう)を使った封印

もう一つの代表的な方法が、蝋を用いた封印です。溶かした蝋を巻物の包み紙や紐の結び目に垂らし、固まる前に印章を押しました。粘土と同様に印章指輪の刻印を押すこともできれば、家紋や象徴的な図柄などの意匠で装飾することも可能でした。蝋封は後世の中世ヨーロッパでも広く受け継がれ、重要文書の封印方法として長く使われ続けました。

結び目による簡易的な封印

より手軽な方法として、巻物を閉じる紐に複雑な結び目を作り、それ自体を封印とするやり方もありました。この方法は粘土や蝋を使う封印に比べて安全性は劣りますが、許可なく開封しようとすれば結び目が崩れてしまうため、不正な開封を防ぐ効果は十分にありました。日常的な文書や重要性の低い巻物には、こうした簡易的な封印が好んで用いられたと考えられています。

文化や時代によって異なる封印の慣習

封印の具体的な方法は、地域の文化や時代によって大きく異なっていました。メソポタミアや近東では円筒印章が発達し、粘土板や封泥への押印が盛んに行われました。エジプトではスカラベ型の印章が、ローマでは印章指輪が広く普及するなど、各文明が独自の封印文化を育んでいたのです。

しかし、その形態こそ違えど、「印章によって巻物の中身を保護し、信頼性を担保する」という実践は古代世界全体に共通して見られるものでした。考古学的にも、メソポタミアやレヴァント地方の遺跡からは数多くの封泥(ブラ)が出土しており、当時の行政や商取引において封印がいかに重要であったかを物語っています。