古代エジプト人が紙の代わりとして使用した植物は、パピルス(papyrus)です。学名はCyperus papyrus(カヤツリグサ科の多年草)で、日本語では「カミガヤツリ」や「パピルス草」とも呼ばれます。
ナイル川が育んだパピルス
パピルスは湿地やナイル川の岸辺に自生する大型の水生植物で、高さは4〜5メートルに達することもあります。毎年氾年氾濫を繰り返すナイル川流域は、この植物にとって絶好の生育環境であり、古代エジプト文明の発展を支える重要な資源となりました。
パピルス紙の作り方
古代エジプト人は、パピルスの茎の髄(ずい)を薄く剥ぎ、それらを縦横に重ねて叩き、圧力をかけて乾燥させることで、書写に適した滑らかなシートを作り出しました。こうして完成した「パピルス紙」は、当時の世界で最も優れた筆記媒体の一つでした。
エジプト文化における役割
パピルスは単なる筆記材料にとどまらず、船や籠、ロープ、履物、さらには宗教的な象徴としても幅広く活用されました。神殿の柱がパピルスの形を模していることからも、この植物がエジプト文化においていかに特別な存在だったかがわかります。
現存する最古のパピルス文書には、紀元前3000年頃のものもあり、『死者の書』などの貴重な歴史資料がパピルスに記され、数千年の時を超えて私たちに伝えられています。