18世紀のイングランドでは、人々の姓の多くが職業、祖先の名前、あるいは住んでいた場所に由来していました。姓は単なる呼び名ではなく、その人がどんな仕事をし、どこから来たのかを示す重要な情報でした。
ここでは、1700年代のイングランドで特によく見られた姓を、由来の種類ごとに分けてご紹介します。
職業に由来する姓(職業姓)
中世から近世のイングランドでは、その人の仕事そのものが姓になったケースが非常に多くあります。
Anderson(アンダーソン)
古ノルド語の個人名「アンドリュー(Andrew)」に由来し、「強い」「男らしい」という意味を持ちます。
Baker(ベイカー)
パンやその他の焼き菓子などを焼いて生計を立てていた「パン職人」につけられた姓です。
Butler(バトラー)
裕福な家庭でワインや食事を給仕する使用人を指す言葉が由来です。
Carter(カーター)
荷車(cart)を使って商品や荷物を運ぶ仕事をしていた人に与えられました。
Clark(クラーク)
聖職者(clerk)や書記として文書の作成・記録業務に従事していた人に由来します。
Cooper(クーパー)
樽などの木製容器を作る職人「樽職人」の仕事から生まれた姓です。
Foster(フォスター)
子どもを預かって育てる「里親」のような役割を担っていた人につけられました。
King(キング)
王や支配者に関係する人物、あるいはそう振る舞う人物を表した姓とされます。
Miller(ミラー)
製粉所(mill)で穀物をひく仕事をしていた人に由来します。
Parker(パーカー)
貴族の所有する公園や庭園・狩猟場を管理・維持する仕事をしていました。
Smith(スミス)
鍛冶屋や金細工師など、金属を加工する職人全般を指す姓で、英語圏で最も有名な姓の一つです。
Taylor(テイラー)
衣服を作る仕立て屋(tailor)の仕事に由来します。
Turner(ターナー)
大工やろくろ職人など、木材を加工する仕事をしていた人につけられました。
Walker(ウォーカー)
羊毛や布を踏んで縮ませる「縮絨(しゅくじゅう)」作業に従事していた織物関係者の姓です。
祖先の名前に由来する姓(父称姓)
「〜の息子」という形で、父や祖先のファーストネームから派生した姓も数多く存在します。
Davis(デイビス)
個人名「デビッド(David)」に由来し、「愛される者」という意味を持ちます。
Edwards(エドワーズ)
個人名「エドワード(Edward)」から派生し、「富める守護者」を意味します。
Harris(ハリス)
「ハリー(Harry)」はヘンリー(Henry)の短縮形で、「家の支配者」という意味があります。
Jackson(ジャクソン)
「ジャック(Jack)」はジョン(John)の短縮形で、「神は恵み深い」という意味を持ちます。
Johnson(ジョンソン)
個人名「ジョン(John)」に由来し、「神は恵み深い」を意味します。
Lewis(ルイス)
ドイツ語名「ルートヴィヒ(Ludwig)」のフランス語形である「ルイ(Louis)」から派生し、「名高い戦士」を意味します。
Robinson(ロビンソン)
「ロビン(Robin)」はロバート(Robert)の短縮形で、「輝かしい名声」という意味を持ちます。
Thomas(トーマス)
アラム語起源の個人名で、「双子」という意味があります。
Thompson(トンプソン)
同じく「トーマス(Thomas)」から派生した姓で、「双子」を意味します。
Williams(ウィリアムズ)
古英語の個人名「ウィリアム(William)」に由来し、「意志の強い戦士」という意味を持ちます。
土地や場所に由来する姓(地名姓)
住んでいた環境や地形から名づけられた姓もあります。
Green(グリーン)
村の緑地や共有地(コモン)の近くに住んでいた人につけられました。
Hall(ホール)
大広間や大きな館(hall)の近くに住んでいたことが由来です。
Moore(ムーア)
荒野(moor)や湿地帯の近くに住んでいた人に与えられた姓です。
White(ホワイト)
白い家や白っぽい土地の近くに住んでいたことに由来するとされます。
まとめ
1700年代のイングランドの姓を見てみると、当時の人々の暮らしがよく分かります。SmithやBakerのような職業姓は、そのまま仕事の内容を表しており、JohnsonやWilliamsのような父称姓は家族のつながりを、そしてGreenやMooreのような地名姓は生活環境を物語っています。
興味深いことに、これらの姓の多くは現代の英語圏でも依然として非常に一般的であり、300年近く経った今も人々の名字として受け継がれています。自分の姓の由来を調べてみると、先祖の歴史や文化に触れるきっかけになるかもしれません。