アメリカ植民地時代の女性名の特徴
17世紀から18世紀のアメリカ植民地時代、女性の名前には当時の宗教観や価値観が色濃く反映されていました。特にニューイングランド地方ではピューリタン(清教徒)の影響が強く、聖書に登場する名前や美徳を表す名前が広く好まれました。ここでは、植民地時代のアメリカで実際によく使われた女性の名前を、由来ごとに分けてご紹介します。
聖書に由来する定番の名前
最も多かったのは、旧約聖書・新約聖書の人物にちなんだ名前です。信仰心の表れとして、親たちは聖書的な名前を積極的に選びました。
- Abigail(アビゲイル)
- Deborah(デボラ)
- Elizabeth(エリザベス)
- Esther(エスター)
- Eunice(ユーニス)
- Hannah(ハンナ)
- Judith(ジュディス)
- Lydia(リディア)
- Mary(メアリー)
- Priscilla(プリシラ)
- Rachel(レイチェル)
- Rebecca(リベッカ)
- Ruth(ルース)
- Sarah(サラ)
- Tabitha(タビサ)
中でもMary、Elizabeth、Sarahは、当時の出生記録に最も頻繁に登場する名前として知られています。
美徳・宗教的価値観を表す名前
植民地時代特有の傾向として、道徳や信仰における美徳をそのまま名前にする習慣がありました。これは英語圏でもこの時代ならではの文化的特徴です。
- Mercy(マーシー)= 慈悲
- Patience(ペイシェンス)= 忍耐
- Temperance(テンパランス)= 節制
- Thankful(サンクフル)= 感謝
これらの名前は、敬虔な生活態度への願いを込めて付けられることが多く、ピューリタン社会の精神風土をよく物語っています。
ヨーロッパ伝来の伝統的な名前
イギリスなどから移民がもたらした古典的な名前も根強い人気を保っていました。
- Alice(アリス)
- Ann / Anne(アン/アン)
- Barbara(バーバラ)
- Bridget(ブリジット)
- Catherine / Katherine(キャサリン)
- Dorothy(ドロシー)
- Jane(ジェーン)
- Joan / Joanna(ジョーン/ジョアンナ)
- Lucy(ルーシー)
- Margaret(マーガレット)
- Susan(スーザン)
- Ursula(アーシュラ)
歴史に残る植民地時代の女性たち
これらの名前は、実際の歴史上の人物にも見られます。例えば、初代大統領ジョージ・ワシントンの夫人はMartha(マーサ)、第2代大統領ジョン・アダムズの夫人はAbigail(アビゲイル)でした。また、『モビー・ディック』などの作品でも知られる作家ハーマン・メルヴィルの母親はMaria(マリア)です。当時の名付けの慣習を知ると、アメリカ建国期の人々の暮らしや価値観がより身近に感じられるでしょう。