世界最古の手紙は「アマルナ書簡EA 14」
現存する世界最古の手紙とされているのが、紀元前14世紀に書かれた「アマルナ書簡EA 14」です。この手紙は、古代メソポタミアの国際共通語であったアッカド語の楔形文字で粘土板に記されており、古代エジプトの都市アマルナ(現在のテル・エル・アマルナ)で発見されました。現在はイギリスの大英博物館に所蔵されています。
アマルナ書簡とは何か?
アマルナ書簡とは、エジプト新王国時代のファラオ、アメンホテプ3世とアクエンアテンの治世に、外国の王たちとの間で交わされた外交文書の総称です。全体で約380枚の粘土板からなり、その多くがアッカド語の楔形文字で書かれています。
書簡の内容は多岐にわたり、バビロニア、アッシリア、ミタンニ、ヒッタイトといった当時の大国の君主たちによる王室同士の婚姻交渉や贈り物のやり取り、さらにエジプトの属国の支配者たちからの報告や要請などが詳細に記録されています。
なぜアッカド語で書かれたのか?
紀元前14世紀の古代近東では、アッカド語が国際的な共通語として広く使われていました。そのため、言語や文化の異なる国々の間でも、アッカド語の楔形文字を刻んだ粘土板によって外交上の意思疎通が図られていたのです。エジプトの王宮でも、アッカド語を読み書きできる書記官が養成されていたことが、これらの書簡からうかがい知れます。
3300年の時を超えて伝わる貴重な歴史資料
EA 14をはじめとするアマルナ書簡は、単なる手紙にとどまらず、3300年以上前の国際関係や政治、文化を知るための極めて貴重な一次資料となっています。大英博物館のほか、カイロ博物館やベルリン博物館など、世界各地の施設に分かれて所蔵されており、今日でも研究者たちによって解読と分析が続けられています。