インカ人の服装の特徴
インカ帝国(15〜16世紀)の人々は、綿やアルパカ・リャマの毛で織った布地を主な衣料としていました。織物は単なる実用品ではなく、身分や社会的地位を示す重要な役割を担っており、特に「クンビ」と呼ばれる精巧な高級織物は、貴族や王族だけが身につけることを許されていました。
男性の服装
- ウンコ(Unku):ポンチョのような衣服で、体に巻きつけて帯で留めて着用しました。
- ワラ(Wara):ウンコの上に重ねて着る、長めでゆったりとしたチュニックです。
- チュッロ(Chullo):耳元まで覆う編み帽子で、アンデス高地の寒さから頭部を守りました。
- オホタス(Ojotas):革や植物繊維で作られたサンダルです。
女性の服装
- アナワ(Anahua):綿や羊毛で作られた、袖のない長いドレスです。
- リクラ(Lliclla):アナワの上から肩に掛けるショールで、体を包むように着用しました。
- チュンピ(Chumpi):アナワとリクラを腰で固定するための帯です。
- オホタス(Ojotas):男性と同様、革や植物繊維製のサンダルを履きました。
男女共通の装身具
- ヤコジャ(Yacolla):他の衣服の上から羽織るマントです。
- トゥプ(Tupus):ヤコジャなどの衣服を留めるための装飾ピンで、高位の女性ほど金や銀製の豪華なものを用いました。
- 耳飾り:金、銀、貝殻で作られた装飾用の円盤。貴族の男性が大きな耳飾りをつけていたことから、スペイン人は彼らを「オレホネス(大きな耳の人々)」と呼んだといわれています。
- 首飾り:ビーズ、貝殻、貴金属で作られました。
- 腕輪:ビーズ、貝殻、貴金属を素材としています。
- 指輪:金、銀、貝殻で作られた装飾品です。
まとめ
インカ人の服装は、機能性と象徴性を兼ね備えていました。シンプルな構造の衣装でありながら、織物の質や装身具の素材によって社会的階層が明確に表され、インカ社会の秩序を視覚的に示していたのです。