9世紀から11世紀にかけて、スカンジナビア出身のヴァイキング(ノース人)は、交易・略奪・植民のために広大な地域へ進出しました。彼らが築いた入植地には、古ノルド語や現地の言語に由来する独自の名称が付けられています。ここでは、地域別に代表的なヴァイキングの入植地とその名前をご紹介します。
カナダ
ランス・オ・メドーズ(L'Anse aux Meadows)
北米大陸で確認されている唯一のヴァイキング遺跡です。ニューファンドランド島に位置し、10世紀末にノース人が到達した伝説の地「ヴィンランド」の一部と考えられています。1960年に発見され、ユネスコ世界遺産にも登録されています。
イングランド
デーンロー(Danelaw)
9世紀にデーン人(ヴァイキング)の支配下に入ったイングランド東部一帯を指す名称です。独自の法律や慣習が適用された地域として知られています。
ヨルヴィーク(Jórvík)
現在のヨークにあたる都市です。ヴァイキング時代にはデーンローの中心地として大きく栄えました。
フランス
ノルマンディー(Normandy)
911年、ヴァイキングの指導者ロロが西フランク王との条約によって獲得した土地です。「ノルマン人(北方の人々)の土地」を意味する名前に由来しています。
アイルランド
ア・クリャ(Áth Cliath/ダブリン)
現在のダブリンのアイルランド語名で、「筏の渡し場」を意味します。841年頃にノース人が要塞を築いたことが、この都市の起源とされています。
ノルマンディー地方
コタンタン(Cotentin)
クータンス(Coutances)
ノルマンディー公国の中核となった地域であり、ヴァイキング系住民の文化的影響が色濃く残っています。
オークニー諸島
バーセイ(Birsay)
オーフィア(Orphir)
いずれもノース人の政治・宗教活動の中心地として機能した重要な拠点でした。
ロシア
アルデイギュボルグ(Aldeygyuborg/旧ラドガ)
ホルムガルド(Holmgardr/ノヴゴロド)
東方へ進出したノース人「ヴァリャーギ」が築いた交易拠点で、キエフ・ルーシ国家の形成において重要な役割を果たしました。
スコットランド
シェトランド諸島とケイスネス
ヘブリディーズ諸島とマン島
これらの地域は長期間にわたりノース人の支配下に置かれ、今日でも多くの地名に古ノルド語の影響が見られます。
ウェールズ
ダブリンとグウィネズ(Gwynedd)
ウェールズ北部のグウィネズ王国は、ダブリンのノース人勢力と密接な関係を持ち、婚姻同盟などを通じて大きな影響を受けました。
まとめ
ヴァイキングの入植地名の多くは、古ノルド語と現地言語の融合から生まれたものであり、その痕跡は現代の地名にも色濃く残っています。北米からロシアにまで及んだ彼らの足跡は、中世ヨーロッパ史における重要な一章といえるでしょう。