アングロサクソン時代、子どもたちはどのように育ったのか?
中世初期のイングランドに暮らしていたアングロサクソン人。彼らの子ども時代は、現代とはまったく異なるものでした。生まれてから大人になるまで、子どもたちはどのような日々を送っていたのでしょうか。成長段階ごとに見ていきましょう。
乳児期(0〜2歳頃)
- アングロサクソン人の子どもは、一般的に生後2年間ほど母乳で育てられました。
- 母親が授乳できない場合には、乳母(ウェットナース)が雇われることもありました。
- はちみつ水などを飲ませることもあったと伝えられています。
- 寒さから守るため、布や毛布にくるんで大切に育てられました。
また、キリスト教社会であったため、生まれてすぐに洗礼を受けるのが慣習でした。洗礼は単なる宗教儀式ではなく、共同体の一員として迎え入れられる重要な節目だったのです。
幼少期(離乳後〜12歳頃)
- 離乳を終えると、子どもたちは歩き方や言葉を覚えていきました。
- 遊びを通じて社会性を学びながら、家の手伝いもするようになりました。
教育の内容は性別によって大きく分かれていました。
- 男の子:狩り、釣り、農作業など、生計を支えるための技能を習得。
- 女の子:料理、裁縫、機織りなど、家庭を支えるための技能を習得。
この時代の子どもには、親や年長者への従順さが強く求められました。さらに、定期的に教会へ通うことも重要な義務とされており、宗教は日常生活の中核をなしていました。
青年期(12歳前後〜)
- 12歳前後になると、子どもはすでに「大人」として扱われるようになりました。
- 男の子は本格的に働き始め、女の子は結婚へと進むのが一般的でした。
- 納税などの社会的な義務も担うようになります。
現代の感覚では想像しがたいことですが、12歳というのは今の中高生と同じ年齢です。それでも彼らは仕事をし、家族を支え、自分で判断を下すことが期待されていました。責任ある一員として、早くから社会に組み込まれていたのです。
厳しさの中にあった喜びと愛情
アングロサクソン時代の子どもの生活は、現代の基準で見れば決して楽なものではありませんでした。幼いうちから労働を強いられ、早くに大人の世界へ放り込まれたからです。
しかし同時に、彼らの日々は喜びと笑いにも満ちていました。子どもたちは家族や共同体から深く愛され、大切に育てられていました。遊びを通じて学び、成長する機会があり、やがては社会に貢献することが期待されていたのです。
過酷な環境の中でも、家族の絆と共同体のつながりが子どもたちを支えていた——アングロサクソンの時代を知ることは、私たち自身の「子ども時代」のあり方を見直すきっかけにもなるでしょう。