結論から言えば、英語文学の始まりがカトリック教会に直接影響を与えたということはありません。むしろ、歴史上はその逆の関係が成り立っています。
成立時期の大きなずれ
今日私たちが知っている英語文学は、カトリック教会の設立やその初期の歴史よりも、はるかに後になって発展しました。カトリック教会が教義、組織、儀礼をすでに確立していた頃には、英語文学と呼べるものはまだ存在していなかったのです。
チョーサーの『カンタベリー物語』
英語文学において最も影響力のある作品の一つとされる、ジェフリー・チョーサー(Geoffrey Chaucer)による『カンタベリー物語』は14世紀に書かれました。これはカトリック教会がその教義や組織を確立してから、すでに長い歳月が経過した後のことです。当時の教会は中世ヨーロッパにおいて絶大な権力を握っており、文学作品が教会に影響を与えるどころか、むしろ文学の側が教会の監督や統制を受ける立場にありました。
実際には教会が英語文学に与えた影響
歴史的事実としてより正確に述べるなら、初期の英語文学こそがカトリック教会から多大な影響を受けています。中世イングランドでは修道院が読み書きの中心であり、宗教文書が数多く書き写され、保存されていました。『ベーオウルフ』に代表される古英語の文学作品も、修道院によって記録・保存されたからこそ、今日まで伝えられてきました。また、チョーサーの作品にも「巡礼」といったカトリック的な主題が色濃く反映されています。
まとめ
英語文学の始まりはカトリック教会の形成に影響を与えたわけではありません。時期的にも内容的にも、むしろカトリック教会の存在こそが初期英語文学の発展を形作った、と言うのが正確な見方です。