古代の歴史

ケルトの女神スリスが象徴するものとは?癒しと光の聖なる泉の守護神

ケルト神話の女神スリス(Sulis)は、癒し、光、そして聖なる温泉を司る存在として知られています。イギリス南西部の都市バース(Bath)にある有名なローマン・バズ(ローマ浴場)は、彼女の聖なる泉の上に建てられたものであり、スリスはその守護神として古くから厚い信仰を集めてきました。

太陽と火、繁栄をつかさどる女神

スリスは癒しの力だけでなく、太陽や火とも深く結びついた女神です。その名前は「太陽」や「目」を意味する古代の言葉に由来すると考えられており、光をもたらす存在として、豊かさや繁栄の象徴でもありました。

ケルト人とローマ人の両方から信仰された女神

スリスへの信仰は古代ケルト人によって始まりましたが、ローマ人がブリテン島へ進出すると、ローマの智恵の女神ミネルウァ(Minerva)と習合し、「スリス・ミネルウァ」として崇拝されるようになりました。バースの浴場跡からは、願い事や恨みを刻んだ「呪い板(カースト・タブレット)」が数多く出土しており、当時の人々がいかに熱心にスリスへ祈りを捧げていたかを物語っています。

19世紀のケルト・リヴァイヴァルで再び脚光を浴びる

時代の流れとともにスリスへの直接的な信仰は薄れていきましたが、19世紀のケルト・リヴァイヴァル(ケルト復興運動)において、再び注目を集めることとなりました。今日では、彼女はケルト神話における重要な女神の一人として、歴史や神話に関心を持つ多くの人々に親しまれています。