はじめに
古代エジプトでは、王族から庶民まで幅広い階層の人々がボードゲームを楽しんでいました。これらのゲームは単なる娯楽にとどまらず、宗教的な意味合いや教育的な役割も持っていました。ここでは、代表的な三つの古代エジプトのゲーム、「セネット」「メヘン」「20マスゲーム」についてご紹介します。
セネット(Senet)― 最も有名な古代エジプトのゲーム
セネットは古代エジプトで最も人気のあったボードゲームです。盤面は通常30個のマスからなる細長いトラック状で、プレイヤーは駒のような円筒形のコマをマス目に沿って進めていきます。
コマを何マス進めるかは、サイコロの代わりに4本の棒を地面に投げて決めました。棒の出た結果によって進む距離が定まり、運と戦略の両方が勝敗を左右しました。
さらに、盤上には特別な効果を持つマスが存在しました。特定のマスに止まると、コマを大きく前進できたり、相手のコマを取ったり、相手の進行を巻き戻したりすることもあったのです。
興味深いことに、セネットは時代が下ると宗教的な意味も帯びるようになりました。死者が来世へ旅立つ過程を象徴するものとされ、ツタンカーメン王の墓からも美しく装飾されたセネットの盤が発見されています。
メヘン(Mehen)― 蛇を模した円形のゲーム
メヘンは、とぐろを巻く蛇の姿を模した円形の盤を使うゲームで、盤面は30個のマスに分かれていました。「メヘン」という名前は、古代エジプト神話に登場する蛇の神に由来しています。
プレイヤーは円錐形のコマを使い、棒を投げたり球を転がしたりした結果に応じてコマを進めていきます。目的は、自分のコマをすべて蛇の体に沿って一周させ、経路の終点に到達させることでした。
ただし、途中には相手のコマが占めるマスがあり、そこに引っかかると後退するなどのペナルティを受けることもありました。
20マスゲーム(The Game of Twenty Squares)
20マスゲームは、番号の振られた20個のマスに区切られた盤面を使うゲームです。プレイヤーはそれぞれ異なる印のついた7本の棒を持ち、これらはゲームのコマであると同時に、進むマス数を決める投擲用具としても使われました。
勝利条件は、相手より先に20番目のマスに到達することです。相手のコマを取ることも重要な要素で、特定のマスに止まると追加の利益や試練が与えられる仕組みになっていました。
古代エジプトのゲームが果たした役割
これらのゲームは古代エジプト文化において重要な位置を占め、社会階級を問わず多くの人々に楽しまれていました。娯楽としての側面だけでなく、数の数え方や戦略的思考を養う教育的な役割も果たしていたのです。
セネット、メヘン、20マスゲームは、初期のボードゲーム革新を代表する貴重な例であり、古代エジプト人の豊かな創造性を今日にまで伝えています。