現代では1時間は60分、1分は60秒と世界共通で定められていますが、古代エジプトで使われていた時間の単位は、まったく異なる体系に基づいていました。本記事では、古代エジプトの「1時間」の長さと、その背景にある時間の捉え方について解説します。
十進法を基盤とした古代エジプトの時間分割
古代エジプト人は、測量や暦の分野において十進法(10進法)を好んで用いたことで知られています。この発想は時間の単位にも及び、当時の「1時間」は10等分されていました。この10分の1にあたる単位は「ジャト(djat)」と呼ばれています。
さらに興味深いのは、各ジャトがさらに60に細分化され、「セケト(sekhet)」という小さな単位になっていた点です。十進法と六十進法という異なる記数法が、時間の枠組みの中で組み合わされていたことになります。
古代エジプトの1時間は現代の約40分
こうした単位体系をもとに換算すると、古代エジプトにおける1時間は、現在の約40分に相当するとされています。現代よりも短い間隔で時間が区切られており、1日をより細かく刻んで捉えていたことがうかがえます。
季節によって長さが変わる「不定時法」
もう一つ知っておきたいのが、古代エジプトの時間が必ずしも一定ではなかったという点です。彼らは昼と夜をそれぞれ12の区分に分け、日の出から日の入りまでの実際の光の長さに合わせて時間の長さを調整していました。このため、日照が長い夏の昼の1時間は冬よりも長く、逆に冬の夜の1時間は夏の夜よりも長くなりました。この方式は「不定時法」と呼ばれます。
時間を測る道具としては、棒の日影の長さや向きを読み取る日時計(シャドウクロック)や、水の流出量で経過時間を測る水時計(クレプシドラ)などが用いられていました。
まとめ:自然のリズムとともにあった古代の時間感覚
古代エジプトの1時間は、十進法を基盤とする独自の単位体系であり、現在の約40分ほどだったと伝えられます。加えて、季節ごとに時間の長さそのものが変化する柔軟な仕組みを持っていました。時計に管理される現代の時間とは異なり、太陽や星の動きといった自然のリズムとともに営まれる、古代ならではの時間感覚がそこにあったのです。