シルクロードには「ある一点から敦煌(トゥンフワン)まで」という固定された区間は存在しません。そもそもシルクロードは一本の道ではなく、アジア大陸各地を縦横に結ぶ数多くの交易路からなる巨大なネットワークだったのです。
シルクロードは一本の道ではなく「道の網」だった
シルクロードとひと口にいっても、その実態は単一の街道ではありません。東は中国(極東)から西は地中海沿岸(近東)まで、砂漠や山脈、オアシス都市を結びながら、いくつものルートが分岐し、合流を繰り返していました。北回りと南回りのオアシスルート、草原を通るステップルート、海を利用する海上ルートなど、時代や情勢によって使われる経路も変化していきました。
「ある地点から敦煌までの長さ」に意味がない理由
このようなネットワーク構造であるため、「どこそこから敦煌まで何キロ」という特定の二点間の距離を語ること自体に意味がありません。出発点をどこに設定するか、どのルートを選ぶかによって距離はまったく異なり、正解となる数字が存在しないからです。
なお、一般にシルクロードの総延長は約7,000キロメートル前後と紹介されることが多いですが、これはあくまで主要な交易路網全体のおおよその規模を示す目安にすぎません。「一本の道路の長さ」というより、「東西を結ぶ交易圏の広がり」と捉えるのが実態に即した理解といえるでしょう。