ワット・ノンランカ遺跡の概要
ワット・ノンランカは、タイ北部カムペーンペット県ナコンチュム地区に位置する大規模な廃寺(放棄された古代寺院)遺跡です。ナコンチュム旧市街の南側外縁、現在のナコンチュム地区自治体の域内にあり、周囲には平野部の田園風景が広がっています。寺院の北側は国道101号線に近く、ピン川の西側約1,257メートルの地点にあたります。
ナコンチュムはピン川西岸に開けた古い町で、対岸のカムペーンペット市街よりも早くから栄えた歴史を持ちます。ワット・ノンランカもそうした古い市街地の信仰拠点の一つとして建立されたと考えられています。
地形と標高
遺跡周辺はピン川沿いに開けた平坦な沖積平野で、標高は海抜79メートルです。水と交通の便に恵まれたこの土地は、古くから人々の暮らしと信仰の場として栄えてきました。
水系と地質
遺跡に関わる主な水路は、ピン川とスアンマーク運河です。ピン川流域には砂礫・砂・シルト・粘土などの堆積物が厚く堆積しており、西側の山岳地帯からピン川へと注ぐ運河も流れています。肥沃な土壌に恵まれたこの一帯は、農耕と交易の要衝でもありました。
考古学的時代・文化・年代
- 考古学的時代:歴史時代
- 文化:スコータイ期、アユタヤ前期、アユタヤ中期
- 年代:仏暦20世紀~22世紀(西暦14世紀後半~17世紀半ば頃)
- 遺跡の種類:宗教施設(寺院跡)
遺構のみどころ
伽藍配置
ワット・ノンランカはナコンチュム市街側に位置し、東側にはムアンカレー寺院が隣接します。全体の平面プランは長方形をなし、伽藍は東向きに配されています。寺院を囲む塀は確認されていないものの、境内の境界(聖域の範囲)を示すために周囲に濠を巡らせた痕跡が残っています。このような濠による境界設定は「ウトックシマー」と呼ばれるもので、スコータイ文化圏で広く見られる寺院配置の典型的な特徴です。
主仏塔(チェーディー)
遺跡の中心をなすのは、スコータイ様式の鐘型チェーディー(仏塔)です。レンガ造りのこの仏塔は、基壇の四面にアーチ型の龕(仏龕)が張り出し、その上方には三層の蓮弁状の基壇が鐘形の塔身を支える構造を持ちます。さらに塔の頂部には、台座・傘柱(カンチャット)・輪環・頂上部が段階的に積み上げられ、スコータイ建築特有の優美なシルエットを今に伝えています。
※本記事の情報は、ワティニー・タノンポルクラン氏により収集・編纂され、データベースとして管理されています。