考古学的発見

ワット・マウンカラエ寺院 ― スコータイ様式の鐘型仏塔が残るナコーンチュムの古代遺跡

ワット・マウンカラエ寺院とは

ワット・マウンカラエ寺院は、タイ北部カンペーンペット県のナコーンチュム地区に位置する、大規模な廃寺となった古代遺跡です。古代都市ナコーンチュムの南側外縁、現在のナコーンチュム自治体の区域内にあり、歴史時代における重要な宗教拠点の一つとして知られています。

立地と地形

寺院の周辺は平坦な平野部が広がっています。北側は国道101号線に近接し、ピン川の西岸から約1,513メートル内陸に入った地点に位置します。標高は海抜約79メートルです。

水系と地質環境

遺跡に関わる主要な水路は、ピン川とスアンマーク運河です。ピン川流域には砂利・砂・シルト・粘土などの堆積物が厚く堆積しており、西部の山岳地帯から流下する運河がピン川へと注いでいます。こうした肥沃な沖積地は、かつてこの地域に人々が定住し、寺院共同体を形成するうえで大きな役割を果たしたと考えられます。

時代と文化的背景

この遺跡は歴史時代に属し、スコータイ期からアユタヤ朝初期にかけて活動していたとみられます。年代としては仏暦20世紀から21世紀(およそ西暦15〜16世紀)にあたり、当時の上座部仏教文化の広がりを物語る貴重な宗教遺構です。

境内の構成と特徴

ワット・マウンカラエ寺院はナコーンチュム側に位置し、西隣にはワット・ノーンランカーが隣接しています。境内は長方形の平面プランを持ち、伽藍は東を正面として配置されています。周囲に寺院の囲い壁は確認されていませんが、代わりに堀を巡らせた痕跡が残っており、これが寺域の境界線「ウトクシマ」を示していました。堀によって境界を表す这种のレイアウトは、スコータイ文化圏の寺院に典型的な形式です。

主な建造物:スコータイ様式の鐘型仏塔

境内の中心をなすのは、煉瓦造りの鐘型仏塔(チェーディー)です。基壇部には四方にアーチ状の龕が突き出すように設けられ、その上に蓮華座が据えられています。塔身はやや細身の鐘形をなし、スコータイ様式特有の優美なプロポーションを見せています。残念ながら塔の頂上部は完全に崩落しており、現在ではカンチャット(傘蓋)と呼ばれる部分のみが残存しています。

※本記事の情報は、ワティニー・タノンポルクラン氏による資料編集およびデータベース管理に基づいています。