考古学的発見

新エジプト考古大臣に聞く――ピラミッド最新鋭調査「スキャンピラミッド」への期待と課題【独占インタビュー】

カイロ在住の特派員アリーヌ・キネールによる、エジプト考古大臣ハレド・エル=エナニー氏への独占インタビュー。テーマは、ピラミッドの非破壊調査プロジェクト「スキャンピラミッド(ScanPyramids)」を中心とした、エジプト考古学の現在地と未来です。

新エジプト考古大臣に聞く――ピラミッド最新鋭調査「スキャンピラミッド」への期待と課題【独占インタビュー】

2016年4月26日、フランスの科学誌「サンセ・エ・アヴニール(Sciences et Avenir)」のジャーナリスト、アリーヌ・キネールは、エジプト考古大臣ハレド・エル=エナニー氏に独占インタビューを行いました。

エル=エナニー氏はフランス語圏に深い親しみを持つ人物です。エジプト学をフランスで学び、この日のインタビューもフランス語で応じてくださいました。舞台となったのは、「スキャンピラミッド」を議題とするエジプト古代遺物常設委員会の会合の直後です。

この特別会合には、エジプト学者、技術者、建築家が集まりました。目的は、エジプトと国際チームによる共同調査、とりわけミューオン粒子を用いた観測キャンペーンの初期結果を評価することです。

2016年3月23日に大臣に就任したエル=エナニー氏は、前任者のマムドゥー・エル=ダマーティ氏の後押しを受け、進行中の発掘事業に最大限の厳格さを求める姿勢を打ち出しています。スキャンピラミッド計画は、ダハシュールの屈折ピラミッドの透過撮影に成功したばかり。次なる標的は、まさに国家の象徴であるクフ王の大ピラミッドです。だからこそ、安易な進め方は許されません。

数時間に及んだ会合では、カイロ大学工学部のハニ・ヘラル教授(調査団コーディネーター)が、HIP研究所、名古屋大学、フランス原子力庁(CEA)、カナダ・ラバル大学といったプロジェクト提携機関のチームとともに科学的報告を発表しました。その直後、大臣は調査の評価と今後の展望について語ってくれました。

スキャンピラミッド計画への立場

――スキャンピラミッド調査団に対するあなたの立場は?

「この計画は2015年10月、エジプト考古省のもとで開始されたものです。省は、誰が責任者になろうと、すべての科学プロジェクトを継続させる方針です。私は関連資料を読み込み、当日の委員会での議論にも注意深く耳を傾けました。提携機関は真摯に取り組んでおり、採用されている技術はすべて非侵襲的です。遺跡に危険が及ばず、大ピラミッドの建造技法や内部構造について新たな知見をもたらせるのであれば、継続に反対する理由はありません。むしろ歓迎します。

省内には科学委員会を設置しました。メンバーには、元考古大臣のザヒ・ハワス氏、ピラミッド研究の第一人者であるアメリカのマーク・レーナー氏、チェコのミロスラフ・バルタ氏らが名を連ねます。彼らはギザ一帯を熟知しています。さらにエジプト古代遺物局長も加わり、専門分野の考古学者の意見も反映できる体制です。各報告書は、エジプト国内で活動するあらゆる調査団の意思決定を担う常設委員会の次回全体会議に提出される予定です」

なぜピラミッド調査は懸念されるのか

――クフ王のピラミッドを含む探索プロジェクトは、なぜこれほど懸念を呼ぶのでしょうか?

「大ピラミッドは特別な存在です。古代世界の七不思議のうち、唯一現存する建造物ですから、損傷を恐れるのは自然なことです。当日の会合でも、多くの質問がこの点に集中しました。ハニ・ヘラル教授とそのチームは明確に答えています。スキャンピラミッドが計画しているどの調査も、遺跡の保存状態に害を及ぼすことは一切ないと」

科学は観光より優先

――こうしたプロジェクトが、エジプトへの観光需要の回復につながると期待していますか?

「科学の利益は、観光よりも優先されます。エジプトについて語ってもらえるプロジェクトには喜んで協力しますが、何よりも堅固な学術的基盤が必要です。スキャンピラミッドについては、ダハシュールの屈折ピラミッドで実証されたばかりの技術を展開する段階だと言えます」

調査への期待は「発見」ではない

――この調査に何を期待していますか?

「クフ王のピラミッドの建設方法については、ほとんど何もわかっていません。歴史家ヘロドトスの記録――スロープ(傾斜路)の存在、労働者の数、建造に要した年数――でさえ、確定的な根拠にはなりません。当日の議論がそれを如実に示していました。建築家たちはスロープ説を受け入れようとせず、考古学者たちは支持する。つまり、まだ学ぶべきことは山ほどあるのです。

とはいえ、スキャンピラミッドに対して『大発見』を期待しているわけではありません。ツタンカーメン王墓北側の壁面裏で行われているレーダー調査と同じで、新しい技術が私たちの学問にもたらしうる可能性を見極めることが目的です。従来の考古学的手法では捉えられなかった、ピラミッド内部の情報を感知しようとしています。何かが発見できれば素晴らしいことですが、仮に発見がなくても、それは遺跡に関する貴重な情報となります」

大臣としての優先事項

――エジプト考古大臣としての最優先事項は何ですか?

「就任後、真っ先にお願いしたのは、外国の調査団が発掘現場で毎月2名の監督官(インスペクター)を養成することでした。協力関係が調和を生み、エジプト学に必要な共生関係が育まれます。これは双方にとって得な仕組みです。外国の調査団は年間12か月のうち1か月しか現場で活動しませんが、残りの11か月間、遺跡はエジプト人監督官の手に委ねられます。

私は国際協力を強く信じています。私自身、フランスで教育を受け、フランス東洋考古学研究所(IFAO)と長く仕事をしてきました。パートナーシップを信じますが、それは『大文字のP』で始まる本物のパートナーシップです。共同調査団は、その肩書きだけにとどまってはなりません。先ほどヘラル教授も、建築家、エジプト学者、科学者を養成したいと述べていました。これこそ、私があらゆる国際調査団に期待することです」

国内の人材育成の課題

――エジプト国内では、若者がエジプト学の訓練を十分に受けていないとお考えですか?

「大学教育において、いくつかの重要な分野が欠けていることを危惧しています。例えば発掘技術です。考古学部のカリキュラムではわずか1~2科目しか扱われておらず、内容は碑文学や文明論に偏っています。さらに、考古遺跡の管理や博物館学(ミュゼオグラフィー)の教育も不足しています。就任以降、これらの分野をカリキュラムに導入したいと申し出てくれる大学関係者が相次いでいます。

それまでの間、長年にわたり遺跡で活動してきた外国の調査団には、遺跡管理のノウハウ提供という重要な役割を果たしてほしいと思っています。エジプトには観光が必要であり、観光にはインフラ整備が不可欠です。ところが何十年も遺跡で活動している外国の調査団があるにもかかわらず、平面図ひとつ、パンフレットひとつ、簡易なガイドブックさえ用意されていない現状があります」

最大の挑戦は財源確保

――その他に進めているプロジェクトはありますか?

「まず財源を見つけるところから始めなければなりません。考古省は財政的に独立しており、主な収入は観光客が支払う入場料です。近年は大きく落ち込んでいますが、革命以前に開始された大エジプト博物館(GEM)のような大型プロジェクトは継続しなければなりません。私の最大の挑戦の一つは、新たな収入源の開拓です。

現在は、若手科学者たちのチームを編成し、毎日集まって業務を支えてもらっています。彼らの眼を通すと、省の姿が違って見えるのです」

遺跡保護――監視より意識改革

――今日、多くの国を悩ませている盗掘者から、遺跡や博物館を守る手立てはありますか?

「すべての遺跡を監視することは不可能です。対象地域はあまりに広大で、シナイ半島東部からリビア砂漠西部、そしてスーダン国境まで及びます。盗掘の問題を抱えており、文化財の不正取引も拡大しています。しかし、私はエジプト国民一人ひとりの意識向上に取り組んでいます。長期的に見れば、それが最も効果的な対策です。

就任後の最初の決定の一つが、小学校の児童を対象とした全博物館・全遺跡の入場無料化でした。また、若手スタッフのうち2名は、遺跡周辺地域の住民に向けた遺産啓発活動にも携わっています。遺跡を守るのは、結局のところ地元の人々だからです。いたるところに監視カメラを設置する余裕は、私たちにはありません」

エジプト学への情熱の原点

――エジプト学への情熱は、どのように芽生えたのですか?

「1992年当時、私は観光ガイドをしていました。担当したのは主にフランス人グループでしたが、彼らほど好奇心旺盛な観光客はいません!神殿の中でフランス人のグループだと一目でわかります。ガイドを取り囲み、質問攻めにするのは必ず彼らなのです。私はすべての問いに答えられませんでした。それが読書への原動力になりました。

その後、エジプト政府の奨学金を得てフランスへ渡り、モンペリエ大学でDEA(上級研究資格)と博士号を取得しました。研究そのものが好きになり、フランス人研究者の水準の高さと、学問への情熱に深く感銘を受けました。それは私を完全に変えました。学位を取るためだけに渡ったはずなのに、帰国する頃には自分もエジプト学者になりたいと思うようになっていました。幸運にも、帰国後すぐにIFAOの研究員に任命され、博士号取得後も10年間にわたって研究を続けることができました」

「エジプトマニア」というフランスの病気?

――エジプト熱(エジプトマニア)とは、フランス特有の病気なのでしょうか?

「ええ、そして私も感染してしまった一人です!」

ピラミッドが象徴するもの

――インタビューを通じてピラミッドの話題が多くを占めました。最後に、ピラミッドがあなたにとって何を意味するのか教えてください。

「安定と永続性です。そしてそれは、エジプトの未来への確かな希望を与えてくれます。たとえ我が国が近年のように困難な時期を経験しようとも、ピラミッドは変わらずそこに佇んでいるのですから」