考古学的発見

国際研究チームが放射性炭素年代測定の新基準を開発——過去5万5000年の年代測定精度が飛躍的に向上

国際的な科学者チームによる7年間のプロジェクトの成果により、歴史的な遺物の年代を測定する手法である放射性炭素(炭素14)年代測定が、かつてない精度に達しようとしています。

約1万5000点のサンプルから導き出された新基準

シェフィールド大学、ベルファスト・クイーンズ大学、ブリストル大学、グラスゴー大学、オックスフォード大学、セント・アンドリュース大学、およびイングランド歴史環境局(Historic England)の研究者チームは、7年間にわたるプロジェクトの一環として、6万年前にさかのぼる約1万5000点の試料を測定しました。

この測定データをもとに作成されたのが、新しい国際放射性炭素較正曲線(IntCal)です。この較正曲線は、遺物の正確な年代測定や将来予測において、科学のあらゆる分野で不可欠なものとなっています。放射性炭素年代測定は、最古の現代人の骨から過去の気候パターンまで、あらゆるものの年代を特定するうえで、考古学や地球科学にとって極めて重要な技術です。

考古学と気候変動研究への貢献

考古学者はこの知識を活用して、歴史的建造物の修復やネアンデルタール人滅亡の謎の解明に取り組むことができます。また、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の地球科学者たちは、この較正曲線を用いて過去の気候を把握し、将来の気候変化への理解を深め、備えるための研究を進めています。

ベルファスト・クイーンズ大学のポーラ・ライマー教授(IntCalプロジェクトディレクター)は次のように述べています。「放射性炭素年代測定は、考古学と環境科学の分野に革命をもたらしました。較正曲線を改良するほど、私たちの歴史についてより多くのことがわかります。IntCalの較正曲線は、環境や人類がその中で占める位置に関する大きな問いに答えるための鍵となるものです。」

対象地域に応じた3つの較正曲線

研究チームは、年代測定対象の場所に応じて、3種類の較正曲線を開発しました。北半球向けのIntCal20、南半球向けのSHCal20、そして世界の海洋向けのMarine20です。

従来手法からの進化

過去50年間に開発されてきた従来の放射性炭素較正曲線は、放射性炭素測定に十分な大きさを持つ、樹齢10〜20年の丸太の測定値に大きく依存していました。

国際研究チームが放射性炭素年代測定の新基準を開発——過去5万5000年の年代測定精度が飛躍的に向上

放射性炭素測定技術の進歩により、更新された較正曲線では、わずか1年分の年輪といった微量サンプルを使用できるようになりました。これにより、従来は得られなかった精度と詳細さが実現しています。さらに、炭素循環に対する理解の進展により、較正曲線は放射性炭素法の適用限界である5万5000年前まで拡張されました。

放射性炭素年代測定の仕組み

放射性炭素年代測定は、過去5万5000年間の年代測定に最も広く使われている手法であり、考古学と環境科学の基盤です。1949年に初めて開発されたこの手法は、安定同位体である炭素12(12C)と、放射性同位体である炭素14(14C)という2つの炭素同位体を利用します。

植物や動物が生きている間は、新しい炭素を取り込み続けるため、当時の大気と同じ同位体比率を保っています。しかし生物が死ぬと、新しい炭素の取り込みが止まり、12Cはそのまま残る一方で、14Cは既知の速度で崩壊していきます。遺物に残された14Cと12Cの比率を測定することで、その死んだ時期を推定できるのです。

大気中の炭素14濃度の変動という課題

もし大気中の14C濃度が一定であれば、年代測定は簡単です。しかし実際には、歴史上大きく変動してきました。生物の年代を正確に割り出すには、14Cの変動に関する信頼できる歴史的記録が必要であり、それによって14Cの測定値を暦年代へと正確に変換できます。新しいIntCal較正曲線は、まさにこの橋渡し役を担うものです。

多様な自然アーカイブから構築

較正曲線は、過去の放射性炭素を記録している多数の自然アーカイブを収集することで作成されました。これらのアーカイブは、別の方法でも年代測定が可能です。具体的には、1万4000年前までさかのぼる樹木の年輪、洞窟内で発見された石筍(鍾乳石の一種)、海中のサンゴ、湖や海洋の堆積物から採取したボーリングコアなどが含まれます。合計で、6万年前のものまで含む約1万5000件の放射性炭素測定値に基づいて、新しい較正曲線が構築されました。