過激派組織「イスラム国(ISIL/ダーイシュ)」が、シリアの古代都市パルミラにおいて、さらに貴重な考古学的遺産を破壊していたことが明らかになりました。

シリア・パルミラ遺跡にかつてそびえていたテトラピュロン(四柱門)。現在は一部が破壊されています。
衛星画像が捉えた新たな破壊の痕跡
米国東洋研究所(ASOR)が、地球観測衛星の運用会社デジタルグローブ(DigitalGlobe)から入手した画像によると、ユネスコ世界遺産に登録されているパルミラ遺跡で、さらなる破壊が確認されました。撮影期間は2016年12月26日から2017年1月10日までで、画像には「テトラピュロン」の深刻な損傷と、ローマ劇場内部の被害がはっきりと写し出されています。
テトラピュロン――16本の柱のうち残ったのはわずか4本
テトラピュロンは、3世紀にローマ皇帝ディオクレティアヌスの時代に建てられた記念碑です。4基の門構造(パイロン)からなり、それぞれが4本の柱で構成される、計16本の柱を有していました。しかし現在、立ち残っているのはわずか4本のみ。しかも16本のうち、エジプト・アスワン産のピンク色の花崗岩で造られた1本だけが本来のオリジナルだったといいます。
ローマ劇場では破壊が舞台側へ拡大
2世紀に建設されたローマ劇場では、破壊行為が舞台側へと及んでいる様子が確認できます。衛星画像には、建造物の周囲に散らばる瓦礫が鮮明に映っています。

2016年12月26日から2017年1月10日の間にISILによって破壊された新たな場所を示す衛星画像。提供:ASOR/DigitalGlobe

パルミラ遺跡全体の俯瞰図と新たな破壊箇所。提供:ASOR/DigitalGlobe
遺跡内での処刑という許されざる犯罪
さらに悪質なことに、遺跡の敷地内および博物館付近で12人が処刑されたとの報告も上がっています。2016年3月にシリア政府軍によって解放されたパルミラ遺跡と近隣の町タドモルは、同年12月に再びISILの手に落ちました。すでに2015年には、ベル神殿やバアルシャミン神殿など複数の神殿が破壊されており、同組織による文化財への攻撃は今も続いています。