考古学的発見

「エジプトのノート」第14回:古代エジプトの墓に描かれた工芸の情景を観察する

壁画が伝える古代エジプトの職人技

ルクソール西岸に広がるテーベの貴族墓には、金の溶解、黒檀(こくたん)の加工、宝石細工など、当時の工芸現場を生き生きと描いた場面画が数多く残されています。これらの壁画は、古代エジプトの職人たちがどのような道具を使い、どの手順で作業を進めていたのかを知るうえで、きわめて貴重な情報源となっています。

「エジプトのノート」第14回:古代エジプトの墓に描かれた工芸の情景を観察する

黒檀の幹を鋸で挽く様子。イプイ(Ipouky)とネブアメンの墓より。

発掘現場から届いた記録写真

本記事は、考古学者フィリップ・マルティネス氏と化学者フィリップ・ワルター氏(CNRS=フランス国立科学研究センター)率いる調査チームが活動する、ルクソールのテーベ貴族墓で撮影された写真を集めた、連載「エジプトのノート」の第14回です。これらの画像は、発掘調査で得られた考古学データを補完するとともに、古代エジプトの職人たちの実際の作業風景をも浮かび上がらせています。

この連載は2018年11月19日から、フランスの科学誌『サイエンス・エ・アヴニール(Sciences et Avenir)』のウェブサイトで公開されています。舞台となるのは、ファラオ・ラムセス2世の高官たちの墓。ナイル川西岸に建つ葬祭殿「ラムセウム」の近くに位置し、研究者たちの日々の調査の様子が逐次レポートされています。

「エジプトのノート」第14回:古代エジプトの墓に描かれた工芸の情景を観察する

黒檀の「ジェド」柱を成形する。イプイとネブアメンの墓。© MAFTO-LAMS CNRS

「エジプトのノート」第14回:古代エジプトの墓に描かれた工芸の情景を観察する

鍍金(きんめき)を施した品々を保管する。イプイとネブアメンの墓。© MAFTO-LAMS CNRS

「エジプトのノート」第14回:古代エジプトの墓に描かれた工芸の情景を観察する

石彫の成形と研磨。レクミレの墓。© MAFTO-LAMS CNRS

「エジプトのノート」第14回:古代エジプトの墓に描かれた工芸の情景を観察する

香りの混合物を煮出す。無名の墓175号。© MAFTO-LAMS CNRS

「エジプトのノート」第14回:古代エジプトの墓に描かれた工芸の情景を観察する

混合物を濾し取る。無名の墓175号。© MAFTO-LAMS CNRS

「エジプトのノート」第14回:古代エジプトの墓に描かれた工芸の情景を観察する

ブレスレットの形をした金を量る。イプイとネブアメンの墓。© MAFTO-LAMS CNRS

「エジプトのノート」第14回:古代エジプトの墓に描かれた工芸の情景を観察する

装飾を施した箱の仕上げ作業。イプイとネブアメンの墓。© MAFTO-LAMS CNRS

「エジプトのノート」第14回:古代エジプトの墓に描かれた工芸の情景を観察する

金の器を成形する。イプイとネブアメンの墓。© MAFTO-LAMS CNRS

「エジプトのノート」第14回:古代エジプトの墓に描かれた工芸の情景を観察する

火に息を吹きかけ、金を溶かす。イプイとネブアメンの墓。© MAFTO-LAMS CNRS

「エジプトのノート」バックナンバー

  • 第1回:古代エジプトの画家たちはどのように働いていたのか?
  • 第2回:ナクトアメンの葬祭礼拝堂を訪ねて
  • 第3回:エジプト絵画の顔料
  • 第4回:壁画の現代的な記録技術
  • 第5回:ラムセス2世の「永遠の記念碑」を再発見する
  • 第6回:光で顔料を可視化する——見えるものと見えないもの
  • 第7回:画像を通して研究を体験する
  • 第8回:ネブアメンとイプイの墓の壁画調査、その始まり
  • 第9回:アメンホテプ3世時代、二人の職人が共有した墓
  • 第10回:古代エジプトの芸術家アメヌアフスーの墓が明かすもの
  • 第11回:エジプトのミイラに施された奇妙な用途
  • 第12回:「なぜすべての画家はここに来ないのか?」
  • 第13回:エジプト人はなぜ人物を横顔で描いたのか?
  • 第14回:エジプトの墓に見る工芸の実践を観察する
  • 第15回:エジプトの香水について
  • 第16回:エジプトのパレットを彩る色
  • 第17回:エジプト語には「芸術」を表す言葉がない
  • 第18回:エジプトでの科学調査のある一日