考古学的発見

エジプト探検記:二人の研究者が綴った発掘現場の日誌

3週間にわたり、研究チームはエジプトでの科学探検の様子を毎日連載記事として報告しました。フランスの科学雑誌『Sciences et Avenir(サンシェ・エ・アヴニール)』のウェブサイトで公開された「エジプトの手記(カルネ・デジプト)」シリーズの全貌を、ここで振り返ります。

エジプト探検記:二人の研究者が綴った発掘現場の日誌

テーベの墓内部(エジプト)

史上初の試み――毎日届けられた現地からの報告

これは前例のない試みでした。2018年11月19日から12月6日までの3週間、パリ・ソルボンヌ大学 分子・構造考古学研究所(LAMS)所長のフィリップ・ワルター氏と、エジプト学者のフィリップ・マルティネス氏が、ラムセス2世時代の高官たちのテーベ墓地群を調査する様子を、『Sciences et Avenir』の読者に向けて毎日レポートしたのです。

ファラオの側近たちが埋葬されたエジプトの「貴族の谷」から、二人の専門家はまるでフィールドノートのように、この科学調査の日々を読者に伝えました。

「エジプトの手記」全18回のラインナップ

  • 第1回:古代エジプトの画家たちはどのように働いていたのか
  • 第2回:ナフトモンの葬祭礼拝堂を訪ねて
  • 第3回:エジプト絵画を彩る顔料の秘密
  • 第4回:彩色壁面を記録する最新の手法
  • 第5回:ラムセス2世の「永遠の記念碑」を再発見する
  • 第6回:光で顔料を浮かび上がらせる――可視と不可視の世界
  • 第7回:映像を通して体験する研究の現場
  • 第8回:ネブアモンとイプウキの墓、壁画調査の始まり
  • 第9回:アメンホテプ3世時代、二人の芸術家が共用した墓
  • 第10回:古代エジプトの芸術家アメヌアフスーの墓が語るもの
  • 第11回:エジプトのミイラに施された意外な用途とは
  • 第12回:「なぜすべての芸術家はここに来ないのか?」
  • 第13回:なぜエジプト人は人物を横顔で描いたのか
  • 第14回:エジプトの墓に見る職人技の観察
  • 第15回:エジプトの香水について
  • 第16回:エジプトのパレットに並ぶ色彩たち
  • 第17回:エジプト語には「芸術」を指す言葉が存在しない
  • 第18回:エジプトにおける科学調査の一日

研究の目的は古代の画家たちに迫ること

この研究プログラムの狙いは、古代エジプトの画家たちがどのような方法で作品を制作していたのかを、より深く理解することにあります。

なお、フィリップ・ワルター氏とフィリップ・マルティネス氏は、2018年12月20日にフランス文化放送(France Culture)で放送された番組『La Méthode scientifique(科学的方法)』にも出演しました。司会はオリヴィエ・ラスカー氏が務め、月刊誌『Sciences et Avenir』編集長のキャロル・シャトラン氏も登場しています。

非侵襲分析が変えるエジプト学の研究手法

彼らのアプローチは純粋にエジプト学的なものにとどまりません。移動式研究室にまとめられた一連の非侵襲的な化学分析技術とデジタル化技術を駆使し、遺跡や装飾の物質的な性質を解き明かすことも大きな目的です。具体的には、X線蛍光分析、ハイパースペクトルイメージング、フォトグラメトリー(写真測量)などの技術が用いられました。

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こうした小型化された機器を墓の内部に持ち込むことで、エジプト学における研究のあり方が大きく変わりつつあります。数千年前に使用された顔料の組成、壁画に込められた象徴性、美術技法の解明、そして自然や宗教的場面の表現方法まで、その解像度は格段に向上しました。

同じ化学分析と3Dデジタル化の手法を用いて、新王国時代(紀元前16世紀~11世紀)に年代づけられる約15基の葬祭礼拝堂を総合的に調査するのは、今回が世界で初めてのことです。