結論から言うと、アトラス(地図帳)は一次資料ではありません。歴史研究や学術調査において、アトラスは「二次資料」に分類されます。ここでは、その理由と一次資料との違いについて詳しく解説します。
一次資料とは何か
一次資料とは、研究対象となる出来事や時代と同時期に作成された文書や遺物のことを指します。具体的には、以下のようなものが該当します。
- 日記や書簡などの個人的な記録
- 公的な文書・法令・条約
- 当時の新聞記事や写真
- 出土品などの実物資料
これらは出来事を直接記録した「第一級の証拠」となるため、史料として最も価値が高いとされます。
アトラスとはどのようなものか
アトラスとは、多数の地図を収集し、通常は冊子(本)の形にまとめたものです。特定の地域や世界全体に関する地理情報——地形、国境、都市、交通路など——を体系的に提供することを目的としています。
アトラスが二次資料とされる理由
アトラスは、既存の地図、海図、測量記録、その他の文書といった一次資料をもとに編纂されたものだからです。つまり、出来事や対象を直接記録したのではなく、それらの情報を後から整理・加工してまとめた資料であり、この点で二次資料の定義に合致します。
研究におけるアトラスの活用法
一次資料ではないからといって、アトラスの価値が低いわけではありません。むしろ、以下のような場面で非常に有用です。
- 歴史的出来事の地理的背景を把握する
- 領土変遷や勢力図の変化を視覚的に理解する
- 一次資料の読解を支援する補足情報を得る
研究を行う際は、一次資料を中心としつつ、アトラスを補助的な資料として活用するのが効果的です。