歴史上の人物

紀元前13世紀の調香師タプティ・ベレ・エカレ――アッシリア宮廷に仕えた世界最古級の化学者

紀元前13世紀、タプティ・ベレ・エカレ(Tapputi-Belatekallim)はアッシリア王国の宮廷で調香師として仕えていました。彼女は、記録に残る中で最も古い化学者の一人と考えられています。

紀元前13世紀の調香師タプティ・ベレ・エカレ――アッシリア宮廷に仕えた世界最古級の化学者

アッシリア宮廷にて

歴史がタプティ・ベレ・エカレについて伝えていることはごくわずかで、その名前すら確実ではないかもしれません。「ベレ・エカレ」は「宮殿の女主人の補佐役」を意味する言葉であり、これは個人名ではなく、おそらく称号だったと考えられています。

タプティの名は、楔形文字の粘土板「KAR 220」の中に言及されています。それによれば、彼女はアッシリア王の宮廷に仕える調香師でした。アッシリアはメソポタミア北部に位置する王国で、首都は現在のイラクのモスルから南へ約100キロメートルの地にあるアッシュールです。この粘土板は、まさにこの都市の遺跡から発見されました。

タプティは、紀元前1245年頃から1208年頃にかけて在位し、アッシリアを最盛期へと導いたトゥクルティ・ニヌルタ1世に仕えていた可能性があります。当時のアッシリアは、地域最大の強国だったのです。

記録上最古級の化学者

タプティについて言及している粘土板には、香水の材料リストが記されており、さまざまな花や植物、油、そして没薬(ミルラ)などが含まれています。さらに、香水の処方を記した他のテキストも彼女の作とされています。これらのテキストには材料だけでなく、溶媒の使用、蒸留、ろ過といった製造工程まで記録されており、当時すでに高度な知識と技術が確立していたことを物語っています。こうした専門性と技能によって、タプティは「最古の既知の化学者の一人」として名声を得ているのです。

彼女の処方が発見されたアッシュール神殿の図書館では、別の調香師による処方も見つかっています。この人物の名は「(—)-ニヌ」と途中までしか残っていませんが、二人は協力関係にあった可能性もあります。さらに、アッシリアやメソポタミアの歴史を通じて、他にも女性の調香師たちが活躍していたことが分かっています。

参考リンク

  • タプティ・ベレ・エカレのWikipediaページ
  • 粘土板 KAR 220