歴史上の人物

ナスカの地上絵を作った人たちは、なぜ“見えない絵”を描いたのでしょうか?

空からしか見えない巨大な地上絵

ナスカの人々が、自らの手で描き上げた巨大な地上絵を実際に目にしたことを示す証拠は、一切残されていません。地上絵の中には全長数十メートルから数百メートルに及ぶものもあり、地表に立っていてはその全体像を捉えることがほぼ不可能です。つまり、当時のナスカの人々は、完成した図形を空から眺めて楽しむことはできなかったと考えられています。

1920年代後半、空から発見された地上絵

この神秘的な地上絵が世に知られるようになったのは、意外にも近代に入ってからです。1920年代後半、ペルーの考古学者フリオ・テロがナスカ砂漠の上空を飛行していた際、大地に刻まれた無数の線を目撃しました。これが地上絵の存在を広く知らしめるきっかけとなりました。

それ以前にも、周辺の住民や旅人が線の存在に気づいていたとされますが、そこに「巨大な動物や鳥をかたどった図形」が隠されていると理解するには、航空機による空からの視点が必要だったのです。

今では誰でも空から鑑賞できる

現代では、観光客がセスナ機や熱気球に搭乗し、上空から地上、上空から地上絵を鑑賞するツアーが人気を集めています。コンドル、サル、クモ、ハチドリなど、70以上の動植物モチーフが確認されており、空から眺めるとその精緻な造形に圧倒されることでしょう。

地上からでも、パンアメリカンハイウェイ沿いに設けられた展望塔から、一部の図形を見ることができます。ただし部分的な眺めにとどまるため、やはり空中からの鑑賞が最も迫力があります。

ナスカの地上絵とはどんなもの?

ナスカの地上絵は、紀元前500年頃から西暦500年頃にかけて、ナスカ文化の人々によって作られたと考えられています。その作り方はシンプルで、地表に散らばる赤茶色の小石を取り除き、下にある白っぽい地層を露出させただけ。雨がほとんど降らないナスカ砂漠の乾燥した気候が、約2000年ものあいだ図形を守り続けてきました。

1994年には「ナスカとパンパスの地上絵」としてユネスコの世界遺産に登録され、その価値が国際的にも認められています。なぜ地上から見えないほど大きな絵を描いたのか——その答えは、宗教的な儀式や天体への祈り、水への信仰など諸説ありますが、確定的な結論はまだ出ていません。だからこそ、ナスカの地上絵は世界中の人々を魅了し続けているのです。