歴史上の人物

マリー・アントワネットの寝室はヴェルサイユになかった?その真実とプチ・トリアノンの秘密

マリー・アントワネットには「ヴェルサイユの寝室」がなかった?

意外に思われるかもしれませんが、マリー・アントワネットにとって心から安らげる寝室は、ヴェルサイユ宮殿の本館内には存在しませんでした。彼女が私的な時間を過ごした寝室は、本宮から離れた場所に建つ小規模な城館プチ・トリアノン(Petit Trianon)の中にあったのです。

プチ・トリアノンとはどんな場所?

プチ・トリアノンは、18世紀後半にルイ15世が建てさせたエレガントな離宮です。1774年、即位したばかりのルイ16世はこの離宮を妃マリー・アントワネットに贈り、以来ここは彼女専用の隠れ家となりました。

ヴェルサイユ本宮では、起床から就寝まで細やかな作法に従う公開儀式が日課として課され、常に廷臣たちの視線にさらされていました。一方、プチ・トリアノンではそうした厳格な宮廷エチケットから解放され、マリー・アントワネットは親しい友人や家族とともに、自由で素朴な生活を楽しむことができました。

彼女が愛した私的空間

マリー・アントワネットはプチ・トリアノンの周囲に英国式庭園を整備し、さらに農村風の家屋や菜園からなる「ハメロー(Le Hameau)」と呼ばれる田舎集落まで造らせました。牧歌的なこの空間は、豪華絢爛な宮廷生活に疲れた彼女にとって、数少ない癒しの場だったといわれています。

まとめ

つまり、「ベルサイユのマリーの寝室」といっても、それは華やかな本宮の玉座の間や公式の居室ではなく、離れにある静かな別荘——プチ・トリアノンの寝室こそが、彼女にとって本当の意味での「自分だけの部屋」だったのです。